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抜歯矯正と非抜歯矯正の違いとメリット・デメリットについて

矯正治療は、歯の噛み合わせが原因で起こるさまざまな問題を解決してくれる治療として、多くの患者さんに選ばれている治療です。

受け口の治療のために、幼児期から矯正治療を始めるケースも多く、最近では健康な歯を抜かずに治す「非抜歯矯正」や「抜かない矯正」にも注目が集まっています。

矯正治療には、マウスピースを使った比較的軽度な治療から、抜歯をして歯を大きく動かすものまでさまざま。ここでは、矯正治療における抜歯の必要性とリスク、非抜歯矯正の方法について詳しく紹介します。

矯正治療の方法と抜歯の有無

矯正治療は本来の歯の機能を取り戻すこと

矯正治療は、第一に患者さんの噛み合わせを改善するものです。第一印象や見た目を整える審美的な目的よりも、本来の歯の機能を取り戻すことを基本的な考え方としています。

矯正治療で歯並びが整ってくると、笑ったり口を開けたりしたときに自然で美しく見えることから、表情にも自信が出てきます。

審美歯科などでは、見た目の改善をメリットとして打ち出しているケースが多くみられますが、実際の目的は歯の機能改善であるということを押さえておきましょう。

もちろん、歯列矯正を行うことで表情が明るく爽やかになり、歯を見せることに自信がついてきます。しかし、健康な天然の歯が多く残っているのに、無理に歯を削ったり抜いたりして見た目を整えるのは適切ではありません。

矯正治療はあくまで、本来の噛み合わせに歯を並べ直すものです。この基本的な目的を押さえたうえで治療を検討することが、後悔なく治療を受けるためのポイントになります。

抜歯が必要かはケースバイケース

矯正治療は患者さんの歯並びに合わせて実施するもので、抜歯が必要なケースもあれば、非抜歯で対応できるケースもあります。

ただし、矯正専門医の中には効率的に矯正を行うためには抜歯が必須であると考えている医師もいます。反対に、できるかぎり非抜歯を推奨する医師もいるため、患者さんにとっては混乱を招く一因となります。

しかし、抜歯が必要かどうかは患者さんの歯列の状態やあごの大きさなどから考えなければならず、安易に「抜くべきだ」と言い切ることはできません。

歯科医によって矯正治療への考え方は異なり、治療方針にも違いがあります。矯正治療を考える場合、必ず2つ以上の歯科医院で説明を聞いて、治療方法を比較することが大切です。

非抜歯矯正治療とは

非抜歯矯正は、その名の通り歯を抜かずに矯正治療を行う方法です。奥歯をさらに奥に移動させて順に歯を並べ直す方法や、歯並びを外側に拡げる方法、歯を1本ずつ削ってすき間を作り、すき間に歯をつめていく方法などが挙げられます。

非抜歯矯正は、健康な歯を抜いてまでスペースを作る必要はないという考え方です。歯を移動させる余地があれば、そこを十分に活用して矯正を行うことができます。

歯を1本ずつ削ってすき間を作る方法なら、歯の表面のエナメル質を少しずつ削って0.3mm程度のスペースを足していき、上の歯全体で合計3mm以上のスペースの確保ができるようになります。

わずかなすき間でも、歯を移動させるためには重要です。すき間なくきれいに歯をつめることができれば、後戻り(矯正治療後に歯並びが乱れてしまうこと)のリスクを抑えることができます。

抜歯をともなう矯正のメリットとデメリット

抜歯のメリット

上記で紹介した非抜歯矯正は、すき間を作る余地がある場合に行われる治療です。すき間がどこにもない患者さんや、無理にすき間を作って後戻りをするようであれば、抜歯もやむを得ないと判断されます。

日本人は欧米人に比べてあごのサイズが小さいため、抜歯をせざるを得ないケースが多いのですが、抜歯をすれば確実に歯1本分のスペースができるため、そこに他の歯をつめていくことができます。

「1本ずつ健康な歯を削るよりも、1本歯を抜いてしまったほうが健康な歯へのダメージが少ない」と考えることもできます。親しらずを4本すべて抜いて、そのスペースを活用する方法も一般的ですが、こちらも同様の考え方です。

抜歯のデメリット

抜歯によるデメリットとしては、健康な歯を丸ごと抜くことで、その歯が役割を果たせなくなってしまうということです。

歯を根本から抜いた場合、その歯には栄養が行き届かなくなり、死んだ状態になってしまいます。欠損した歯の下にある骨も痩せていき、欠損部分の噛む力が衰えて、ものをしっかりと噛むことができなくなるおそれも。

長期的に歯を使うことを考えると、健康な歯を何本も抜くことは適切ではなく、口の中全体のバランスや咀嚼力にも影響を及ぼす可能性があります。

矯正治療の基本的な考え方

口の中の状態に合わせた治療

矯正治療は患者さんの口の中に合わせて行う治療です。単純に「非抜歯矯正がいい」「部分矯正がいい」ということではなく、患者さんにとってどんな治療方法が適切かを考えなければなりません。

矯正治療を受ける患者さんには、まだ抜歯ができないお子さんや、すでに歯が何本も欠損している高齢の患者さんもいます。すべての患者さんに抜歯ができるというわけではなく、あくまでも抜歯は矯正治療の手段の一つにすぎないということです。

患者さんにとってどんな治療が良いのかを判断するには、歯の状態や口の中の詳細な検査が必要です。3D画像スキャンなど、外から見ただけでは分からない部分まで詳細に診断できるシステムを使って、治療計画を組み立てていきます。

健康な歯はできるだけ残す

歯科医の多くは、患者さんに合わせたオーダーメイドの治療を考えます。非抜歯矯正が向いているのか、それとも抜歯を行わなければどこにもスペースが作れないのかなど、あらゆる可能性を考えることになります。

もちろん、健康な歯はできるだけ残さなければなりません。あちこちにスペースが必要だからといって、抜かなくてもいい歯まで抜くことは、患者さんにとって大きな負担となります。

抜歯は治療の手段の一つではありますが、強制されるものではありません。医師から抜歯を強制されたときには、患者さんが自分の意思で治療を断ることができますし、セカンドオピニオンやサードオピニオンで、他の歯科医師の意見を取り入れて決めることも可能です。

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悩みに合わせた治療計画を考えよう

矯正治療は患者さんの口の中を診ながら、それぞれの状態に合ったバランスに整える治療です。噛み合わせを正すことで口元が美しく整うため、見た目にも美しい仕上がりになります。

しかし、矯正治療は審美治療が第一の目的というわけではありません。もともと噛み合わせの良い部分をもう一度直す必要はないので、歯並びが揃っているところは残し、乱れている部分だけを直すこともできます。

小さいお子さんなら、成長期に合わせて歯並びを整えていく治療が勧められます。大人になってからまとめて矯正するよりも、骨や組織が柔軟に動く子どものうちから矯正を行えば、後から健康な歯を抜く心配がありません。

患者さんによって悩みの内容はさまざまですが、歯科医は患者さんの歯の数や口の中のスペース、バランスが乱れている箇所を総合的に診ながら治療計画を考えますので、どんなことでもまずは相談することをおすすめします。

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