インプラントに副作用はある?治療で想定されるリスク
インプラントを検討中の方であれば、治療を行うことで副作用やリスクがあるのかどうかは、気になる内容だと思います。
本記事では、インプラント治療で想定される副作用やリスクについて、副作用を避けるためにできることを解説していきます。
インプラント治療に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
インプラント治療に副作用はある?
結論から述べると、インプラント治療に副作用やリスクは少なからずあります。
インプラント治療は、インプラント体埋め込みの外科手術を伴う治療法であるため、手術時のミスや、個人の体質等に由来する副作用・リスクの発生を完全に避けることはできません。
後悔やトラブルを回避するため、治療前に想定されるリスクや注意点も十分理解した上で、インプラント治療にふみきることをおすすめします。
副作用・リスク対策では歯科医院選びが重要に
インプラント治療前にしっかりと検査・治療計画を立ててもらえる歯科医院で行えば、副作用やリスクの出る可能性は低く抑えることができます。
適切な歯科医院選びさえできれば、インプラント治療の副作用・リスクを過度に心配する必要はありません。
それでも不安な方は、カウンセリングの際に歯科医師に感じる懸念を伝えておきましょう。
良い歯科医院であれば、丁寧な説明で患者自身の懸念をケアすることで、安心して手術できるようにサポートしてくれます。
インプラント治療で想定される副作用・リスク
実際のインプラント治療では、どんな副作用・リスクが起こりうるのでしょうか。
インプラントで想定される一般的な副作用・リスクを解説していきます。
- 神経、血管の圧迫・損傷
- 手術後の腫れや痛み
- インプラントと骨が結合しない
- 手術後の投薬治療に由来する副作用
神経、血管の圧迫・損傷
インプラント手術の副作用として、神経や血管の圧迫や損傷が起こるケースがみられます。
顎の骨には、多くの神経や血管が通っています。
なかでも注意が必要なのが下顎にある「下顎管」と言われる大きな神経と血管が通る管です。
下の歯に対するインプラント手術ではこの下顎部の施術を行います。
そのため、下顎管の神経や血管を傷付けたり、圧迫したりしてしまうことで、顎先や口周りに痺れ・麻痺などが起きるケースがあります。
また、血管を傷付けた場合は大量出血のリスクがあります。
ケースとしてはまれではありますが、インプラント治療が外科手術を伴う治療法である以上、可能性をゼロにはできません。
安全な施術を実現するCT撮影
神経損傷等のトラブル発生を避けるため、インプラント手術をおこなっている歯科医院では、事前にCTにより撮影を行います。
CT画像をもとに立体的に神経や血管の位置を確認することで、インプラントの埋め込み位置や使用するインプラント体を決めていきます。
手術中もCT画像を確認しながら進めることで、神経や血管の圧迫・損傷のリスクが軽減され、より安全にインプラント手術が受けられるでしょう。
最近のインプラント治療では、術前のCT検査が普及したことで神経や血管を損傷するケースは減少傾向にあります。
万が一、神経に圧迫や損傷があり痺れなどの症状が出た場合は、ビタミンB12やステロイドホルモンなどの投薬治療を行い、損傷箇所の回復を図ります。
手術後の腫れや痛み
インプラント施術後の副作用でもっとも現れやすいのが手術部位の痛み・腫れです。
インプラントは外科的手術を行うので、術後の炎症反応で内出血や痛み・腫れが生じてしまいます。
特に骨造成術を同時に行った場合は、施術する範囲が広くなるので内出血や痛み・腫れの出るリスクが高く注意が必要です。
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通常、痛みや腫れの症状が出ても鎮痛剤を服用すれば日常生活に支障がない場合が多いです。
1〜2週間かけて症状は和らいでいきます。
鎮痛剤を服用しても耐えられない痛みがある場合や2週間以上痛み・腫れが続く場合は、速やかに歯科医師に確認してもらいましょう。
インプラントと骨が結合しない
インプラント治療では顎の骨にインプラント体を埋め込み、人工歯(上部構造)をささえる支えとして使用します。
インプラントを機能させるためには、顎の骨とインプラント体の結合が必要不可欠です。
しかし、まれにインプラントと顎の骨がうまく結合できずインプラントが外れてしまうケースがあります。
インプラントと顎の骨が結合しない原因は大きく2つあります。
骨量不足や骨の質(硬さ・軟らかさなど)の影響
インプラントを埋める顎の骨には、十分な厚みと深さ・硬さが必要です。
インプラントの適応かあらかじめ手術の前にCTを撮影して確認しますが、インプラント適応と判断した場合でも、想像していたより骨の状態が悪いと結合がうまく出来ない場合があります。
骨が硬いとインプラントに良いイメージがありますが、骨が硬すぎると顎の骨を通る血管が少なくなります。
インプラントと顎の骨が結合するためには十分な血液が必要です。
骨が軟らかすぎたり、硬すぎたりすると血液が十分に行き届かず結合を妨げる原因になります。
骨火傷(オーバーヒート)による定着不良
インプラント手術中に骨が火傷するオーバーヒートが原因でインプラント体と顎の骨がうまく結合しないケースがあります。
顎の骨をドリルで削るとドリルの回転によって摩擦熱が発生します。
摩擦熱による顎の骨の火傷を防ぐため、ドリルを使用する際は生理食塩水を注水して、術部を冷却しながら進めるのが一般的です。
しかし、
- 注水の量が不十分だった
- 切れ味の悪いドリルを使用していた
- ドリル使用時に力をかけ過ぎた
などのミスがあると、骨の温度が上がり火傷してしまいます。
オーバーヒートが起こると、結合不良の他にも痛みや腫れ・熱感などの症状が現れる場合が多いです。
手術後の投薬治療に由来する副作用
インプラントは、外科手術をともなうため、術後に鎮痛剤や抗生物質・消炎酵素剤などが処方されることが多いです。
しかし、処方された薬が身体に合わず副作用が現れる場合があります。
薬の服用後に、かゆみや発疹・下痢・嘔吐・腹痛など気になる症状が現れたら副作用の可能性が高いです。
処方される薬は、歯科医院の方針によって異なります。
また、患者の健康状態・常用薬の有無によって薬が変わる場合もあります。
投薬による不調を感じたら速やかに歯科医師へ相談を
自己判断で服用を中止することはおすすめできません。
処方された薬の効果を得るためには、歯科医師の指示に従ってしっかりと服用することが大切だからです。
薬の服用による副作用を感じた場合に重要なのは、速やかな歯科医師への相談です。
投薬後に感じている不調を正直に伝えた上で、医師の判断をあおぎましょう。
インプラント治療の副作用を避けるには?
それでは、インプラント治療の副作用やリスクを避けるためにできることには、どんなことがあるのでしょうか。
患者側で取ることのできる代表的な対策を紹介します。
- インプラント治療に優れた歯科選びが最重要
- 術後のセルフケア・メンテナンスも歯科医の指示に従う
インプラント治療に優れた歯科選びが最重要
インプラント治療を受ける際には、インプラントに関する経験と実績がある歯科医師が在籍している設備の整った歯科医院を選択するようにしましょう。
インプラント治療は、少しのミスで重大な事故に繋がる可能性があります。
そのため、インプラント治療は保険適応の歯科治療と比較しても、歯科医師の高度な技術力と精密な検査設備が整っている歯科医院を選ぶ必要があります。
歯科医院のホームページを確認すると、歯科医師の実績や歯科医院の設備が掲載されている場合があります。
気になる歯科医院がある方は、事前に確認するのも有効な手段です。
副作用・リスクの説明が丁寧かもチェックしよう
しっかりとした事前の精密検査は、インプラント手術の成功を左右します。
精密検査で集めた資料は、インプラント治療の適応か判断する材料になることはもちろん、一人ひとりに合った治療計画を策定するために必要不可欠です。
歯科医師はカウンセリングの際、精密検査を通じて集めた資料や治療計画を患者に説明します。
治療説明の際に、メリットだけでなくデメリットなどの注意点も丁寧に説明がある歯科医院の方が信頼できると言えるでしょう。
術後のセルフケア・メンテナンスも歯科医の指示に従う
歯科医師の指示に従って、適切な歯磨き方法の習得と、定期的にインプラントに異常がないか口内の確認を行なってもらうようにしましょう。
インプラントは治療が完了したら終わりではありません。
その後のケアがインプラントの寿命を大きく左右します。
インプラント治療を受けたら、自宅で行うセルフケアと歯科医院での定期検診が必要です。
インプラントは人工物なので虫歯になることはありません。
しかし、インプラントやインプラント周囲に食べカスやプラークが多く残っていると「インプラント周囲炎」と言われる細菌感染を起こすリスクがあります。
インプラント周囲炎はインプラントを失うもっとも大きな原因です。
インプラント周囲炎を防ぐためには、歯磨きをしっかり行なって口内を清潔に保つことと、歯科医院での定期的な確認が必要不可欠です。
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まとめ
インプラント治療には、副作用やリスクが少なからずあるのが現状です。
しかし、インプラント治療の成功率は高く外科手術をともなう治療法のなかでは安全性が高いと言われています。
副作用やリスクはゼロではないので治療開始前に十分に理解しておくことが大切です。
インプラント治療を検討中の方で疑問点や不安なことがある場合は、カウンセリングの際に歯科医師に相談するようにしましょう。
インプラント治療で副作用やリスクの可能性を少しでも低くするためには、治療を受ける歯科医院の選択が重要になります。
歯科医師の経験や実績・歯科医院の設備が整っているかなどしっかりと見極める力が必要です。
気になる歯科医院がある場合は、ホームページや実際に足を運んで確認するようにしましょう。
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