インプラント治療で歯茎は下がる?移植が必要なケース
インプラント治療を行う際、歯茎の健康状態は必ずチェックされます。
歯茎の状態が悪いとインプラント治療を進めるのは難しいため、歯茎を良い状態にするための治療を行ってからインプラント治療に取り掛かるケースも多数あります。
今回は、インプラント治療における歯茎の役割や、よくあるトラブルとその対応について解説します。
インプラント治療と歯茎にはどんな関係があるのか、歯茎の状態が悪い場合にどのように治療を行うのか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
インプラント治療における歯茎の役割
歯茎は、インプラントを埋め込む「土台」の役割を担います。
そのため、安定したインプラント治療を行うには、歯茎の健康状態が良いことが大切です。
インプラント治療では顎の骨に直接インプラントを埋め込むため、インプラント体やアバットメント(義歯とインプラント体をつなぐ中間の器具)を保護する部分の歯茎の状態をあらかじめ診察し、悪い場合には改善する必要があります。
歯肉が健康だとインプラントが安定し、トラブルが軽減
逆に、歯茎(歯肉)が健康な状態であれば、インプラント治療を行った後も安定し、定期的なメンテナンスと毎日のケアをしっかりと継続していくことで、インプラント周囲炎やインプラントの脱落などの各種トラブルは軽減します。
インプラント治療では「顎の骨」に注目してしまいがちですが、実はインプラントを支える土台の一つである「歯茎」も非常に重要なのです。
インプラント治療で歯茎を移植するケース
インプラント治療で歯茎が不足すると、インプラントを埋め込んだ後に下記のようなトラブルが起きやすくなります。
- 歯茎が下がる・痩せる
- ブラッシングが難しくなる(歯茎が少ないので痛い)
- インプラントが安定しない
- インプラント義歯と歯茎の間に汚れがたまり、感染が起きる
これらのトラブルは、インプラント体と義歯を包み込む「角化歯肉」と呼ばれる、硬い歯茎が十分にあることで軽減できます。
もし、インプラント治療前に角化歯肉が少ないと判断された場合、手術によって歯肉を再生し、角化歯肉を補うことが可能です。
歯肉再生治療で「角化歯肉」を移植する
歯肉再生治療では、歯茎の移植を行います。
通称「FGG(遊離歯肉移植術)」と呼ばれる術式で、患者自身の口蓋(上あごの裏側の部分)から硬い歯茎を採取し、歯茎を補いたい部分に移植を行うのが一般的です。
移植後は、時間がたつと周りの歯茎としっかりとくっつき、一体となります。
採取した元の場所も、痕になることなく治癒しますので、移植と聞くと怖いイメージがあるかもしれませんが、実は意外と簡単に行える上に安全な方法です。
インプラント治療後に歯茎の問題を抱えるよりも、歯茎が少ない場合には、インプラントを埋め込む前に歯肉再生治療を受けるのがおすすめと言えます。
歯茎移植の治療費用は5~10万円ほど
歯茎の移植にかかる治療費用は、5万円~10万円ほどが一般的。
自由診療となるため、口腔外科や歯科医院ごとに費用の設定は異なりますが、目安としてぜひ知っておいてください。
ただし、歯茎の移植1か所につき上記の費用がかかりますので、移植が必要な部分が数か所あれば、費用はさらにかさみます。ご注意ください。
インプラント治療で歯茎が下がることがある?
中には、インプラントの治療前後に適切な対応ができず、歯茎が下がってしまうケースもあります。
ここでは、インプラント治療で歯茎が下がる原因を4つ、簡単にご紹介します。
インプラント治療で歯茎が下がる原因
インプラント治療で歯茎が下がる原因としてよく挙げられるものをまとめてみました。
- 抜歯後の歯茎の治りが悪い
- 歯周病
- インプラント周囲炎
- セルフケアでブラッシングが強すぎる
抜歯後の歯茎の治りが悪い
インプラント治療のために、治療部位の歯を抜いた後、歯茎の治りが悪く、歯茎そのものがやせて下がってしまうことがあります。
抜歯後に歯茎がやせ、下がってしまうのはよくあることです。
治りが悪いと感じた場合はすぐに歯科医師に相談しましょう。
歯周病
インプラント治療後、インプラント周辺を清潔に保つことが出来なかった場合、近くにある歯の周辺の歯茎が感染を起こし、歯周病になることも。
歯周病は歯周病菌によって歯茎に炎症が起き、進行すると歯を支えている骨が溶け、歯茎も下がってしまいます。
インプラント治療後は、まわりの歯への影響も考慮し、口内を清潔に保つことが大切です。
インプラント周囲炎
インプラント周囲炎とは、インプラントを中心として起こる「歯周病」です。
インプラントは歯ではないため、インプラントを中心として細菌感染が起きている場合には「インプラント周囲炎」と呼ばれています。
原因も、歯周病と同様。ブラッシングやフロスなどの日ごろのケアを怠って歯科医の定期メンテナンスに通わずにいると、インプラントのまわりに汚れが蓄積し、細菌感染を引き起こすのです。
インプラント周囲炎がひどくなると、歯周病と同様に土台となる骨が溶かされ、歯茎が下がってしまいます。
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セルフケアでブラッシングが強すぎる
インプラントのセルフケアでブラッシングを強くやりすぎると、歯茎が傷つき、下がってしまうケースがあります。
歯茎が下がるほどのブラッシングとなると、歯が少しずつ削れる原因にもなりかねません。
歯茎だけの影響にとどまらない可能性がありますので、注意が必要です。
インプラント治療後、歯茎が下がらないための対策
インプラント治療後に、歯茎が下がらないための対策として、以下の3点を注意しましょう。
- ブラッシングを適切な強さで行う
- セルフケアを丁寧に行う(フロス使用)
- 定期メンテナンスを受ける
インプラント治療後に定期メンテナンスを受ける、セルフケアを怠らないのは当然のことですが、意外と「しっかりみがけばOK!」とブラッシングを強くしすぎてしまう方もいます。
強すぎるブラッシングは、歯茎を傷めてインプラントを不安定にしてしまう可能性があるため、適度な力で行いましょう。
どの程度の力なら良いかわからない場合は、歯科医院で教えてもらうのがおすすめです。
インプラント治療と歯茎に関するQ&A
ここでは、インプラント治療と歯茎に関するよくある質問をまとめました。
- インプラント治療後、歯茎が黒くなったのですが?
- インプラント治療後に歯茎がやせることはありますか?
- インプラント治療後に歯茎が痛いのですが?
- インプラント治療後の歯茎が白いのですがなぜですか?
インプラント治療後、歯茎が黒くなったのですが?
インプラント治療後に歯茎が黒くなる主な原因は、下記の2つです。
- インプラント素材(金属)が見えている
- インプラント周囲炎で歯茎が黒ずんでいる
いずれも、気が付いたらすぐに治療や調整が必要です。
いつもよりも歯茎の黒ずみを感じた場合は放置せず、歯科医院にご相談ください。詳しくは、下記記事を参考にしてくださいね。
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インプラント治療で歯茎は黒くなる? 原因と予防策
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インプラント治療後に歯茎がやせることはありますか?
インプラント治療後に歯茎がやせることはあります。主な原因は「歯茎が下がる時」と同様、以下の通りです。
- 過度な力でのブラッシング
- インプラント周囲炎および周囲の歯の歯周病
- 抜歯後の治癒不全
いずれの原因もケアや術前後での歯茎の健康状態を適切に対応すれば、歯茎がやせにくくなります。
しっかりと硬く厚みのある歯茎は健康なインプラントに不可欠です。
どうしてもやせたあとに改善が見られない場合は、歯肉移植での改善が見込めます。まずはかかりつけの歯科医師にご相談ください。
インプラント治療後に歯茎が痛いのですが?
インプラント治療を行った後、2週間以上たっても歯茎の痛みが消えない場合は、インプラントの周辺の歯茎や骨で炎症が起きている可能性があります。
続く場合はすぐに手術を受けた歯科医師にご相談ください。
逆に言えば、インプラント治療後は、2週間程度は痛みが続く可能性があります。
とはいえ、通常は日が経つにつれ、痛みは落ち着いていくものです。
痛みが全くひかなかったり、強くなったりする場合は異常な状態である可能性が高いです。
インプラント治療後の歯茎が白いのですがなぜですか?
インプラント治療後に歯茎が白っぽくなっている場合、インプラントが直接関係しているとすれば「白色のアバットメント(中間の結合部品)」が透けて見えているケースも。
ただし、この現象はジルコニア素材のインプラントを利用している場合に限るため、普通の金属素材を使っているにも関わらず歯茎が異常に白いのであれば、歯茎そのものの病気が疑われます。
気になる場合はかかりつけの歯科医師で診察を受けましょう。
まとめ
インプラント治療を行う上で、歯茎は重要な役割を担っています。
インプラント体を骨に直接埋め込み、その周りを保護して細菌感染を防ぐためには、丈夫な歯茎が不可欠です。
一般的には、インプラント治療前後に歯茎が下がったり、やせていたりする場合には、歯肉再生治療で「角化歯肉」を移植する治療法があります。
歯茎の健康は、安定したインプラントには非常に重要ですので、日頃からのケアを欠かさないようにしましょう。
不安がある場合は、すぐにかかりつけの歯科医師や、信頼できる歯科医師にご相談ください。
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