インプラント治療で歯茎のへこみ~抜歯後に歯茎がへこむ原因と対処法
インプラント治療の過程で、抜歯後の治癒期間中に歯茎がへこんでいる場合、へこみを補う治療が必要となる場合も少なくありません。
一般的に、抜歯後に歯茎がへこんでしまうのは自然なことではありますが、インプラントを埋入するという目的に限定すると、安定性や審美性において著しいへこみは治療しておく方が安心です。
今回は、インプラント治療で抜歯後に歯茎がへこんでしまう原因と、対処法を解説します。
インプラント埋入前、抜歯後に歯茎がへこんでしまい悩んでいる方や、今後インプラント治療をうけようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
インプラント治療で抜歯後に歯茎がへこむ原因
インプラント抜歯後に歯茎がへこむ原因は、主に2通りです。
- 廃用性萎縮の影響
- インプラント治療中の細菌感染
廃用性萎縮の影響
一般的に、抜歯後に歯茎がへこんでしまう、やせてしまうのは「廃用性萎縮」の影響です。
廃用性萎縮とは、体の中で使われていない組織が退化してしまう現象のこと。
たとえば、骨折で入院し、長期間歩いていなかった時に筋肉がやせ細ってしまった、というのはよく聞く話です。
歯茎などの組織も、使われていないと同様の現象が起こります。
抜歯後にすぐインプラントを埋入する場合はさほど気になりませんが、抜歯後に治癒期間をおいて手術する場合によくみられる現象です。
場合によっては、へこんだ歯茎を補う治療が必要です。
インプラント治療中の細菌感染
インプラント治療中、もしくはインプラントの治療前から歯茎や周辺組織が最近感染してしまっている場合、歯茎や周辺の骨が損傷・吸収し、へこんでしまうことも。
一般的に、細菌感染を起こしてしまうと、歯茎が腫れ、血が出るほか、放置すると組織が壊されて顎の骨や歯茎の退縮・吸収へとつながります。
こうなってしまうと、埋入しても細菌が増えて悪化するため、インプラント治療にそのまま進むのは難しくなります。
そのため、口内の細菌感染が疑われる場合は、まず細菌感染を改善し、健康な状態になってからインプラントを埋入するのが一般的です。
インプラント治療でへこんだ歯茎を放置するとどうなる?
インプラント治療中にへこんだ歯茎を放置すると、様々な悪影響があります。ここでは、へこんだ歯茎を放置するデメリットを4つご紹介します。
見た目が悪くなる
歯茎がへこんだままインプラントを埋入してしまうと、埋入した部分の歯茎がへこんだままとなってしまい、見た目の問題が発生します。
インプラントの大きなメリットのひとつが「審美性」ですが、歯茎のへこみによってその良さが落ちてしまうのはデメリットです。
インプンラントの安定性が低下する
歯茎は歯やインプラントを支えるクッションのような役目を担います。
そのため、へこみがあるままインプラントを埋入すると、埋め込んだインプラント自体の安定性が低下してしまうことも。
また、へこみの原因が歯茎の萎縮だけではなく歯の周辺の骨の吸収だった場合には、そもそもインプラントを埋入した後の骨結合がうまくいかない可能性が高くなります。
そうならないためにも、著しくへこんだ歯茎は放置せず、治療してからインプラント体を埋入するのが理想的です。
食べ物の汚れがたまりやすくなる
歯茎は歯の周辺の隙間を埋めてくれる役割があります。
歯茎がへこんだままインプラントを埋入してしまうと、隙間に食べ物の汚れやプラーク(歯垢)がたまりやすく、清潔に保つのが大変です。
口内環境を整えるためにも、歯茎をふっくらと健康な状態に保つことは大切です。
痛みや口臭・歯周病の原因に
歯茎のへこみを放置すると、先述の通り食べ物の汚れがたまりやすくなります。
食べ物の汚れはインプラント周辺のプラークのたまりにつながり、口内に細菌感染を引き起こしてしまう可能性があるのです。
感染が広がると口臭や歯周病、インプラント周辺の場合はインプラント周囲炎へとつながりますが、初期は自覚症状がなく、気が付かないケースも少なくありません。
細菌感染が一度起こってしまうと、全治するのは難しくなります。
歯周病やインプラント周囲炎のリスクを減らすためにも、へこんでいない健康な歯茎は重要です。
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歯茎のへこみを改善する対処法
歯茎のへこみを外科治療で改善する場合、骨や歯茎の状態に合わせ、大きく2通りの方法があります。
結合組織移植
インプラント治療時に歯茎がへこんでしまい、インプラント埋入後に支障が出ると判断された場合「結合組織移植」を行うケースがあります。
結合組織移植とは、自分自身の健康な角化歯肉(硬い歯茎)を切り取り、対象となる部位に移植する方法です。
結合組織移植は、以下の2つの条件に当てはまった場合に行います。
- 骨の厚みや量は十分
- 抜歯後にへこんだ歯茎のみ補う必要がある
痛みが少なく、自分自身の健康な歯茎を移植するため移植後もうまく定着しやすい方法として、よく利用されています。
GBR法(骨再生誘導法)
インプラント治療の過程で抜歯後に骨吸収が進んでおり骨の厚みや量が足りない場合など、骨を補う必要がある場合は、GBR法が利用されます。
GBRとは「Guided Bone Regeneration」の略称で、日本語では「骨再生誘導法」と呼ばれています。
GBR法とは骨を増やしたい、作りたい箇所に骨補填材、もしくは細かく砕いた患者自身の骨を入れて、骨の再生を促す方法のことです。
患者自身の骨を使う方法は骨を採取する際本人に負担がかかるため、骨補填材を使う医院も多くあります。
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インプラント治療中の歯茎のへこみに関するQ&A
ここでは、インプラント治療中の歯茎のへこみに関する「よくある質問」をまとめてみました。
歯茎のへこみがあり痛みが治まらないときは?
抜歯後に歯茎のへこみがあり、痛みが1週間以上おさまらないときは、すぐに治療を受けた歯科医院に相談しましょう。
細菌感染し、歯肉炎などが悪化している可能性もありますが、激しい痛みの場合は、治癒不全で「ドライソケット」になっている可能性があります。
いずれにしても、一週間以上も激しい痛みが続くケースはまれですので、すみやかに受診する必要があります。
歯茎がへこんでしまうとインプラント治療は受けられない?
歯茎がへこんでしまっていても、インプラントは埋入可能です。
特に、抜歯後1か月程度では歯茎がへこんでしまうのは普通のことであり、その後治癒してふくらみが戻っていきます。
インプラントを埋入するのは歯茎の抜歯後の傷が治ってから、というケースも多いため、一時的なへこみは問題ありません。
数か月してもへこんだまま、という場合には歯茎の厚みを改善させる治療もできますので、へこみが原因でインプラント治療が受けられない、ということは基本的にありません。
ただし、へこみの原因が顎の骨の吸収が著しく進んでいるから、など埋入自体に問題が出る際はその限りではありません。
心配な方は、信頼できそうな歯科医院にご相談ください。
あらかじめ歯茎がへこまないように治療を進められますか?
歯茎がへこまないように治療を進めることは可能です。
抜歯後に「ソケットプリザベーション」と呼ばれる歯槽骨温存法を使い抜歯後の骨吸収を最小限に抑えることで、骨吸収による歯茎のへこみを防ぎます。
ただし、この方法は骨補填材で骨吸収を抑えるものです。
歯茎そのものに問題がある場合にはへこみを防ぐことはできません。
また、へこみがあったとしても、治療を行えばインプラント治療は問題なく行えるケースが多くあります。
どうしてもインプラント治療過程での抜歯後のへこみが不安な場合は、できるだけへこみを抑えながら治療を進められないか、歯科医師にご相談ください。
まとめ
インプラントの治療過程で抜歯をして、歯茎がへこんでしまうケースは少なくありません。
抜歯後は、治癒する過程で歯茎が一時的にへこんでしまうものですが、数か月してもへこみが著しく、治らない場合には治療してからインプラントを埋入するケースもあります。
インプラント治療の過程で抜歯後、歯茎のへこみがあり心配な方は、まずは治療中の歯科医院にご相談ください。
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