インプラント手術から数年後の痛み、考えられる原因と対処法は?
インプラント治療を行なってから数年後、治療した部分に痛みを感じることがあります。
インプラントは、外科的手術をともなうため、術後に痛みを感じる方は少なくありません。
とはいえ、インプラントの手術からある程度年月が経っているにもかかわらず痛みを感じるという場合は、患部になにか問題が起こっている可能性があります。
治療から数年の間で、インプラントにはどのような変化が起こっているのでしょうか。
本記事では、インプラント治療から数年後に出る症状や痛みが出る原因・対処法を解説します。
インプラント治療から数年が経ち、痛みを感じ始めた方はぜひ参考にしてみてください。
インプラント手術数年後に起こる症状
インプラントは、各種の歯科治療の中でも、寿命の長い治療方法と言われています。
保険診療である入れ歯やブリッジと比較しても、正しいケアを続ければインプラントの方がより長持ちすると言われています。
しかし、まれですが、インプラント手術を行なった数年後から、インプラント治療を行った部分になにかしらの症状が出るケースがあります。
以下に、インプラント手術数年後に起こることのある症状を解説します。
インプラント部分の痛み
インプラント周囲に炎症が起こると、痛みとともに歯茎に赤味や腫れが現れる場合が多いです。
歯磨きなどで歯茎に刺激が加わると出血することもあります。
痛みや炎症などの症状がある場合、インプラント周囲が歯周病菌によって炎症を起こすインプラント周囲炎に罹っている可能性が高いです。
インプラント周囲炎はインプラントを失う大きな原因の1つと言われています。
インプラントに痛みがある場合は、インプラントにトラブルが起こっている可能性が高いため注意が必要です。
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噛んだ時に違和感を感じる
食事した際など、噛んだ時に違和感を感じる場合があります。
具体的には、食べ物を噛んだときに
- 噛み合わせが安定していない
- インプラントがグラグラしている
などの症状が挙げられます。
噛み合わせに違和感がある場合、原因として考えられるのがインプラントと被せ物を繋ぐネジ(アバットメント)の緩みです。
インプラントの寿命は10年前後と言われています。
長年使い続けていると、少しずつアバットメントが緩み違和感へと繋がるケースは少なくありません。
また、インプラントの被せ物も経年劣化で少しずつ摩耗します。
摩耗して噛み合わせが変化してしまうケースでも違和感として現れる可能性が高いです。
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発音がしにくい
インプラント治療を終えて以前より発音しにくいと感じる方がいます。
歯の形態に舌や頬が慣れていないことが原因で、次第に解消する場合がほとんどです。
しかし、なかにはインプラント治療が完了した数年後に発音しにくくなったと感じるケースもあるようです。
インプラント治療から数年経って発音のしにくさを感じるようになった場合、
- インプラントの被せ物の経年劣化による摩耗
- 年齢を重ねることによる歯並びの変化
などが原因として考えられるでしょう。
噛み合わせとあわせて歯科医師に確認してもらうことをおすすめします。
インプラント手術数年後の痛みが出る原因
インプラント手術を行なった数年後に痛みが出ている場合、インプラントの治療箇所にトラブルが起きている可能性が疑われます。
インプラント手術数年後に痛みが出る主だった原因には、大きく3つが考えられます。
- インプラント周囲炎に罹患している
- 経年に寄る噛み合わせの変化
- 隣接する歯のトラブル
以下に、解説していきます。
インプラント周囲炎に罹患している
インプラント周囲炎は、インプラント部分の歯茎などの組織が歯周病菌に感染する病気のことです。
インプラントが歯周病に罹っている状態で、痛みや腫れ・出血などの症状が現れます。
インプラントは人工物なので、天然歯と比較して歯周病菌に対する抵抗力は弱いです。
そのため1度、歯周病菌に感染すると進行が速い特徴があります。
インプラント周囲炎は、初期の段階では自覚症状が現れにくいです。
痛みや出血などの自覚症状が出た時には、かなり進行しているケースも珍しくありません。
インプラント周囲炎にかかるとインプラントを支える歯槽骨も減りやすくなり、インプラント体を失う大きな原因となります。
経年による噛み合わせの変化
噛み合わせのバランスが崩れると、インプラント部分の噛み合わせに違和感を感じる場合があるでしょう。
口内は常に変化し続けるのが一般的です。
加齢とともに歯茎が痩せたり、周辺の歯が虫歯や歯周病になったりすると歯並びや噛み合わせも変化します。
インプラント部分の噛み合わせが高いと、インプラント自体に負担がかかり痛みが出る可能性があります。
また、噛み合わせのバランスが崩れるとインプラント体と被せ物を繋ぐネジ(アバットメント)にも大きな負担がかかります。
万が一、アバットメントが緩んでしまうと、被せ物がグラつき痛み・破損の原因になるので噛み合わせの違和感には注意が必要です。
隣接する歯のトラブル
インプラントに問題がない場合でも、隣接する歯など埋め込んだインプラント周囲の歯に虫歯や炎症がある影響で、痛みが出てくる可能性があります。
痛みを感じた時にインプラントで治療した箇所の問題と考えてしまう方も多いですが、実際は周囲の歯にトラブルが起きていたというケースも少なくありません。
こうした可能性も考慮して、インプラント治療箇所周辺に痛みがある場合は、インプラント自体はもちろん周辺の歯や歯茎もあわせて確認するのが一般的です。
インプラント手術数年後の痛みへの対処法
インプラント手術数年後に痛みが出ないようにするには、どのような対策が必要になるのでしょうか。
適切な対処法を行うことでインプラントの寿命を長く保つことも可能になります。
以下に、インプラント手術数年後の痛みへの対処法を紹介します。
自宅でのセルフケアを怠らないようにする
インプラントを健康に保つためには、自宅で行うセルフケアが重要になります。
インプラントを失う大きな原因は「インプラント周囲炎」です。
インプラント周囲炎は、口内に残る食べカスやプラークに生息する歯周病菌が原因で罹患します。
毎日のブラッシングで口内に汚れを溜めないことが、インプラント周囲炎を予防するポイントと言えるでしょう。
ハブラシだけでブラッシングを行った場合、口内の60%の汚れしか除去できません。
インプラントと歯茎との境目やインプラントと隣接歯の間は、ハブラシだけでは汚れが残りやすい部分なので、ワンタフトブラシなどヘッドの小さいハブラシで除去すると効果的です。
また、インプラント体と隣接歯の間は、デンタルフロスや糸ようじ・歯間ブラシを使用するといいでしょう。
ハブラシだけでなく補助清掃用具を使用して磨き残しを無くすことで、トラブルが起こるリスクを軽減できます。
歯科医院の定期検診に通うようにする
インプラントは治療が終わってからも定期メンテナンスが必要不可欠です。
定期メンテナンスは「インプラントや歯茎に異常がないか」「噛み合わせに変化がないか」などを確認する目的があります。
口内の確認以外にも、専用の器具を使ってハブラシで取ることができない歯石や着色汚れを除去。
ハブラシが当たっていない部分があれば「ブラッシング指導」で適切なブラッシング方法を指導してもらえます。
また、インプラント部分はもちろん口内全体に虫歯や歯周病などの異常がないか確認してもらえます。
定期メンテナンスに通っていれば、痛みなどのトラブルが起きても原因を早期発見できるのでインプラントの寿命を長く保つことが可能でしょう。
インプラントには、インプラント保証が付いている場合があります。
しかし、インプラント保証の条件のなかには定期メンテナンスに通っていることを条件にしている場合が多いです。
インプラントの寿命を保つためにもインプラント治療を行ったら必ず定期メンテナンスに通うようにしましょう。
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まとめ
インプラント治療した数年後に痛みがある場合は、インプラント部分にトラブルが起きている可能性が高いです。
痛みの原因は「インプラント周囲炎」「噛み合わせの変化」「隣接の歯が虫歯・歯周病に罹患している」などが考えられます。
それまで感じなかった痛みや違和感を感じた場合、インプラント治療から数年を経過して起きた口内トラブルの可能性を示すシグナルです。
速やかに歯科医院を受診して歯科医師の指示を仰ぐようにしましょう。
また、インプラントをトラブルから守り、利用できる寿命を長く保つためには、自宅で行うセルフケアと歯科医院の定期メンテナンスが必要です。
定期メンテナンスに通ってインプラント部分に異常がないか、セルフケアが適切に行われているか確認してもらうことで、数年で痛みが出るといった事態をなるべく避けることができるでしょう。
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