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20代でインプラント治療は可能?メリットとリスク、注意点を解説

20代で歯を失ったとき、選択肢の一つとして気になるインプラント。
20代でインプラント治療を受けるのは正解なのか、知っておきたいところですよね。

今回は、20代でインプラント治療を受けるメリット・デメリットやリスクなどを解説します。
インプラント治療を受けようか検討している20代の方は、ぜひ参考にしてください。

20代でのインプラント治療は可能?

そもそものところ、20代といった若い年代でも、インプラント治療を行うことは可能なのでしょうか。

先に結論をお伝えするならば「顎の骨の成長が終わり、十分な骨量がそろっていれば、インプラント治療は可能」となります。

20代で特に欠かせない顎の成長の確認

顎の成長は、インプラント治療が可能かどうか判断する重要なポイントです。

顎の骨は基本的には20歳ごろに成長が終わるのが一般的ですが、中には20代前半でも成長がまだ終わっていない方もいます。
顎の成長途中の方がインプラント治療を行うと、治療後の成長の影響により、埋め込んだインプラントと他の歯とのズレ、かみ合わせ悪化、最悪はインプラント体の脱落などの問題につながる可能性があります。

そのため、顎の骨の成長状況について歯科医師による適正な検査と綿密な相談が必要です。

20年保ち得る長寿命がインプラントの魅力

歯科が治療可能という見立てなら、20代でインプラント治療を行うのは悪くない選択と言えます。

日本口腔インプラント学会による「20 年以上経過したインプラント患者のアンケート調査」では、20年たっても約8割の方がインプラントを問題なく維持しているというアンケート結果が出ています。
インプラント治療の寿命は10年程度と言われるのが一般的ですが、実際には治療後10年を越えて継続使用できる方が多くいる状況からは、インプラントという治療法の寿命の長さが読み取れます。

一度の治療で中長期の利用が見込める点は、若い20代だからこそ価値の高い魅力と言えるかもしれません。

図3 インプラントの経過について
公益社団法人日本口腔インプラント学会「20 年以上経過したインプラント患者のアンケート調査」(PDF)より引用

一方で、20代ではブリッジを装着する方や何もしない方が多いという事実もあります。

表16.補綴物の装着の有無と各補綴物の装着者の割合
厚生労働省|平成28年歯科疾患実態調査結果の概要より引用

インプラント治療は費用が高額で、収入がまだ少ない20代の方の選択肢には上りづらい点、また金額以前のところで20代ではまだ複数本の歯を失う方が少ない点も影響した結果と考えられます。
歯の問題を抱えていても他の歯で噛むことができることから放置している、治療したとしてもインプラント治療にまでは至らないケースも多そうです。

20代のインプラント利用が必要なケース

20代でもインプラントの利用が必要なケースは、主に以下の通りです。

  • 虫歯・歯周病などの重度の悪化
  • 歯ぎしりなどで歯が割れた
  • 交通事故、スポーツなど外傷性による歯の破損

様々な要因で歯に重大なトラブルを抱えた方、歯を失った方など、確実な代替が必要なケースにおいて、インプラント治療が重宝されると言えます。

重要な部分の歯を失ったり、他の治療法ではカバーしきれないときには、インプラント治療もぜひご検討ください。

20代で歯を失った際の治療の選択肢

20代で歯を失った際の治療の選択肢としては、主に以下の3通りです。

  • 入れ歯
  • ブリッジ
  • インプラント

それぞれの特徴や費用を表にまとめてみました。

治療法 費用 治療期間 寿命 特徴
入れ歯 5,000円前後(1本あたり) 1か月~ 3~5年 安価かつ素材によっては長期使えるが、周りの歯で支えるため負担有。
ブリッジ 15,000円前後(1か所、3本セット) 半年~ 7~8年 噛み心地は悪くないが両側の歯を削って支えにするため健康な歯を犠牲にする
インプラント 40万円前後(1本あたり) 二週間~ 数十年 高額だがメンテナンス次第で長期間利用可能。
噛み心地・審美性◎

健康な歯に負担をかける治療に注意

それぞれメリット・デメリットありますが、健康的な歯に負担をかける治療法には注意が必要です。
特に、20代で治療を行う場合、その後の周りの歯への影響も重視していかないと、いずれは周りの歯も状態が悪化してしまう可能性も。

費用面や手軽さも大切ではありますが、将来的な口内の健康を保てるかどうか、という視点を忘れずに治療法を選ぶようにしましょう。

20代でインプラント治療を行うリスク

20代でインプラント治療を行う場合、20代だからこそのリスクとして「顎の骨が成長途中のリスク」があります。

顎の骨の成長途中である可能性

顎の骨の成長は20歳ごろに完了するとされており、人によっては25歳まで成長するケースも。

インプラント治療は直接顎の骨にインプラントを埋入するという特徴から、顎の骨が成長途中の場合には治療ができません。

日本口腔インプラント学会が示す治療方針では、若年者がインプラント治療を行うリスクについて、以下のように記述されています。

②若年者でのリスク
若年者に対しては永久歯列が発育途上であるとインプラント治療は適用できない.インプラント埋入後に顎骨が発育すると,天然歯とインプラント上部構造の間にずれを生じるためである.成長が停止すれば治療は可能である.成長停止時期は個人差があるので,慎重に適用を検討しなければならない
引用元:日本口腔インプラント学会|口腔インプラント治療方針2020 (p19)

20代でインプラント治療を受ける際は、インプラント埋入後に顎が発達してしまい既存歯との間にずれや不正咬合が生じてしまう可能性があります。
そのため、歯科医は慎重に顎の骨の成長が止まっているかどうかを評価し、治療方針を決める必要があるとされています。

治療を受ける患者側としては、顎の骨に関して適正な検査・診断を行ってくれる歯科医を選ぶことが重要です。

若いからこそリスク軽減される面も

また、

  • 治療が外科手術であるリスク
  • インプラント周囲炎にかかるリスク

など、他の年代でも同様に抱えるインプラント治療のリスクは存在します。

ただし、一般的に、若いからこそ身体にかかる負荷をリカバリーしやすいところもあります。
もちろん個人差はありますが、インプラント治療におけるベーシックなリスク要因に関して言えば、他の世代よりむしろリスク軽減される面もあります。

20代でインプラント治療を受けるメリット

20代でインプラント治療を受けるメリットは、多数あります。

手術に臨む体力と治癒の早さ

20代でインプラント治療を行う場合は、若いため外科手術に対応できる体力がある点が大きなメリットです。
さらに、回復も30代以降の方よりも早めなのが一般的。
一般的な身体面での治療リスクが、若いことで軽減されます。

審美性に優れている

見た目の美しさを求めて健康な歯をインプラントに置き換える方がいるほど、インプラントは審美性に優れた治療法です。
周辺組織に不調が起きない限りは、自然な歯と見た目の違いはほとんどなく、自分の歯と見分けがつきません。

20代だからこそ、周りから見られた際の見た目の問題は気になってしまうもの。
インプラントなら、若くして歯を失っていることも悟られず、友人や職場での会話を思い切り楽しむことができます。

食事を楽しめる

インプラントはしっかりとした自然な噛み心地が特徴で、自分の歯のように食事を気兼ねなく楽しめるのがメリットです。

入れ歯やブリッジの場合、思い切り噛むと周りの歯に負担がかかったり、そもそもしっかりと噛むことができなかったりするのが一般的です。

一方、インプラントは周囲への影響を気にせず、よく噛んで食事することができます。
友人との外食などでの不安も最小限で済みます。

長期間活用できる

20代からインプラント治療を受けた場合、治療後も長くインプラントを活用できる可能性高いと言えます。

インプラントは、長い方では40年ほども健康に保てている例もあります。
最新のインプラント治療を受け、しっかりとメンテナンスしていくことで快適な状態を長期間維持しやすいのがメリットです。

健康なほかの歯への負担軽減

インプラント治療では、顎の骨に穴をあけ、そこにインプラント体を埋入して固定します。
よって、周囲の健康の歯を削ったり、支えにして負担をかけたりする心配がありません。

さらに、欠損歯を20代のうちに補うことで、食事や運動の際に他の歯に大きく負担をかける状況を防げます。

長い目で見ればコスパ良好

インプラント治療は1本あたり30~50万円と高額ですが、中には40年維持している例もあるため、20代からやっておくとかえってコストパフォーマンスが高いケースも。

1年あたり1~2万円で自然に近い歯が手に入る

たとえば、1本40万円のインプラントを40年間維持した場合、メンテナンス費用を除けば、1年あたり1万円、1か月あたり1,000円以下でインプラントの恩恵を受けることになります。

失った歯の代わりに、自然の歯と機能的に近く、審美性の高い代替歯を1年あたり1万円(たとえ20年しかもたなくとも2万円)で手に入れられるのは、QOLも向上するため、費用対効果が高いと言えます。

20代でインプラント治療を受けるデメリット

ここでは、20代でインプラント治療を受ける主なデメリットをご紹介します。

インプラント治療の費用は高額

一般的に、インプラント治療の費用は高額です。
目安としては1本あたり30~50万円程度かかるため、20代の若者にとっては大きな出費と言えます。

とはいえ、最近ではインプラント治療や矯正に使える「デンタルローン」もあり、一度にまとまった資金を用意できなくても、分割払い前提で治療を進めることも可能です。
計画的に返済できるのであれば、ローンを利用する方法で治療をうけるのも良いでしょう。

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定期メンテナンスの必要

インプラントは一度埋め込んだら終わりではなく、健康に保つためにも定期メンテナンスは必須です。

20代は忙しく仕事をしている方も多いため、定期メンテナンスに通うのが大変というケースもあります。
メンテナンスに通いやすい環境の方、もしくはきちんと通う意欲のある方でないと、インプラント周囲炎などのリスクが高くなります。

治療期間が最短3ヶ月程度はかかる

インプラント治療は、治療開始から最短で3か月は治療期間がかかります。

特に、2回法を採用した場合はさらに治療期間が延びる可能性もありますので、しばらくは通う必要がある点を理解しておきましょう。
20代で時間がなく、早く治療を終わらせたい、時間をかけたくない方にはデメリットと言えますね。

ただし、治療後はしっかりメンテナンスを受けることで長期間インプラントを保てるケースも多いので、寿命が短い他の治療法と比較した上で、最終的にはどの方法が自分に適しているかじっくり決めましょう。

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20代でインプラント治療を行った体験談

ここでは、20代でインプラント治療を受ける、もしくは受けた方の口コミ・SNS投稿をご紹介します。

若いころのケガで歯を失いインプラント治療を受けた口コミ


こちらは20代のころに、歯のケガによって抜歯・インプラント治療を余儀なくされた方の口コミです。

体質的な問題(先天性欠損歯)やケガで歯を失った若い方によっては、インプラント治療を選択するケースもあるということが分かりますね。

審美性は優れているがインプラントだと知られたくないケースも


こちらは20代でインプラント治療を受けた方の投稿。
審美性が高く歯をきれいに見せることができるという一方で、やはりインプラントは歯を失うケースが増える年齢層が高めの方がやるもので、若いうちにやるのは恥ずかしいという意識があるようです。

20代にインプラント治療を行い、不具合なく維持できている例

https://twitter.com/ryotaro_momota/status/1242048908626235392
こちらの方は、20代でインプラント治療を行い、不具合なく過ごせているという口コミです。
治療中に該当の歯が折れてしまい、インプラント治療を選択されたようですが、後悔なくすごせている良い例と言えますね。

20代でインプラント治療と聞くと、あまり耳にすることはありませんが、口コミや体験談を探すと、意外と治療方法として選んでいる方が散見されます。
インプラント治療は20代にとってメリット・デメリット両面ありますので、費用面なども含め、自分にとってベストな治療方法を歯科医師と相談の上に決めていきましょう。

まとめ

20代では歯を失う経験をする方がほとんどいないため、補綴方法としてインプラント治療を選ぶ方の絶対数は少なくなっています。

一方で、一度インプラントを埋め込んだ後は20年以上健康に保てている、というケースもあるため、長い目で見ると、周囲の歯への負担も少なく、良い治療方法と言えます。

また、20代でインプラント治療を行う際、一番大切なのは「顎の骨は成長が止まっているか」を確認すること。
成長途中の顎の骨に対しては治療が行えないためこの点も注意しながら、ぜひ歯科医師としっかり相談し、納得のいく治療方針を決めてください。

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