インプラントの学会の種類は?活動内容や資格制度など解説
インプラントをテーマにしている学会は国内にいくつかありますが、歯科医院や口腔外科で「〇〇インプラント学会会員」など書かれていても、実際にどのような団体なのかわからないこともありますよね。
今回は、インプラントの学会の種類や活動内容、資格制度などを解説します。ぜひ、インプラントの歯科医院選びの参考にしてください。
インプラント学会の種類
日本の口腔外科や歯科医院が加入しているインプラント学会の主な種類は、以下の4種類です。
- 日本口腔インプラント学会
- 日本顎顔面インプラント学会
- 国際インプラント学会(ICOI)
- 国際口腔インプラント学会(ISOI)
日本口腔インプラント学会
日本口腔インプラント学会は、1986年に「日本歯科インプラント学会」と「日本デンタルインプラント研究学会」が合併し、発足した学会です。
日本の航空インプラント会の発展を図ることを目的としており、会員数1万人以上、さらにドイツインプラント学会との学術協定を提携している大きな組織です。
参考:日本口腔インプラント学会
日本顎顔面インプラント学会
日本顎顔面インプラント学会は、インプラントを中心とした学問を扱う学会の一つ。インプラントの知識と質の良いインプラント治療の普及を図っています。
1993年に歴史が始まり、現在の名称である「日本顎顔面インプラント学会」としては1999年からの活動となります。
学術大会や研修、講習事業なども実施しているほか、学会誌も発行している大きな団体です。
国際インプラント学会(ICOI)
ICOI(International Congress of Oral Implantologists)は、本部を米国に置いた国際的なインプラントをテーマとした学会です。設立は1972年ですので、2022年時点で50年物歴史ある学会と言えます。
世界最大規模のインプラント専門家の教育や学会活動を行う団体・機関であり、会員は下記の幅広い領域より属しています。
- 一般歯科医
- 口腔外科医
- 歯周病専門医
- 補綴専門医
- 歯内療法専門医
- 歯科矯正医
- 歯科技工士
- 歯科衛生士
- 研究者
- 大学教員
- 歯学部生
- 卒後研修医
- 歯科業界の代表者 など
国際口腔インプラント学会(ISOI)
国際口腔インプラント学会「International Society of Oral Implantology」(ISOI)は、ヨーロッパで最大規模、かつ最も古い歴史を持つ、ドイツに本部を置くインプラント学会「DGZI」の日本支部を併設している学会です。
日本国内でのインプラント研究だけではなく、グローバルに活動を展開。
会員数は併設しているDGZIだけでも世界1万人以上。資格制度も取り入れており、信頼できるインプラント学会のひとつです。
インプラント学会の資格制度
インプラント学会にはそれぞれ資格制度があり、資格を保持している歯科医師は専門性が高いと言えます。それぞれの学会における資格制度は以下の通りです。
日本口腔インプラント学会の資格制度
日本口腔インプラント学会の資格制度の一覧を表にしてみました。
歯科医師 | 口腔インプラント指導医 |
---|---|
口腔インプラント専門医 | |
JSOI専修医 | |
歯科医師 | ケースプレゼンテーション試験 |
歯科衛生士 | インプラント専門歯科衛生士 |
歯科技工士 | インプラント専門歯科技工士 |
それぞれの資格について、知識や専門的技能を持っており、資格制度に合格した方のみが資格者を名乗ることができます。
口腔インプラント指導医が最上位資格
日本口腔インプラント学会の資格は多くの種類がありますが、歯科医師の資格では下記の順に取得難易度が高くなっています。
- 口腔インプラント指導医
- 口腔インプラント専門医
- JSOI専修医
- ケースプレゼンテーション試験
たとえばJSOI専修医の場合は、ケースプレゼンテーション試験に合格したのち、かつ症例を5つ提出するほか、指導医2名の推薦が必要です。
口腔インプラント指導医は、過去に施術した100症例の一覧やエックス線写真及び、インプラント治療後3年以上経過時の資料や写真も提出が求められるほか、試験も課せられるので専門性や知識、経験が求められます。
上位の資格を取得するためには、症例を増やし、会員としての年数も規定があるほか、その前の段階の資格取得も必須です。
上位資格をいきなり取ることはできないうえに、所属年数も求められるため、難しい資格制度と言えます。
検討中のインプラント歯科が「口腔インプラント指導医」であれば、会員歴10年以上が対象となるので、長期・多数のインプラント治療経験を持つ歯科医であると判断できるでしょう。
同様に口腔インプラント専門医の場合は会員歴5年以上、JSOI専修医は会員歴2年以上が対象です。
日本顎顔面インプラント学会の資格制度
日本学顔面インプラント学会には、「指導医」「専門医」の認定が受けられる資格制度があります。
それぞれの資格において、今まで診療・インプラント手術を行った症例や、学会発表、論文業績などの資料を提出し、書類審査を受けた上で「試験」が行われます。
提出資料では、一般的なインプラント治療の例だけではなく、全身管理が必要だった例や、顎の骨造成手術(インプラントを埋め込む際に顎の骨が薄い・弱い場合に行う手術)などの様々な症例について記録の提出が求められます。
試験は、書類審査に通過後、口頭と筆記両方で行われますので、資格者は一定の技術と経験があり、専門性の高い医師と判断できます。
国際インプラント学会(ICOI)の資格制度
国際インプラント学会の資格制度では、歯科医師または歯科技工士の免許書を持っている方に対し、以下の資格が用意されています。
- ICOI Fellowship(認定医)
- IPS Mastership
- ICOI Diplomate (指導医)
下の資格に行くにつれ、資格を取得する難易度が上がります。指導医に関しては、認定を受けるために60症例で75~200本以上のインプラント治療の症例を提出し、その内容も細かく決められています。
技術や経験なしでは取得ができない資格と言えますね。
国際口腔インプラント学会(ISOI)の資格制度
国際口腔インプラント学会(ISOI)の資格制度は種類豊富で、歯科医師だけではなく歯科衛生士や歯科技工士に関する認定も行っています。
歯科医師の認定資格にはランクがあり、日本支部で認定が受けられるClinical Oral Implantology(認定医)の資格を取得した人、かつ基準を満たす臨床経験がある医師のみがさらに上を目指せる制度です。
多数の臨床経験があるからと、いきなり上位の資格を取得できるしくみにはなっていないため、信頼性も高いと言えます。
具体的な資格や認定を受ける支部については下記にまとめてみました。
DGZIドイツ本部認定 | Master program |
---|---|
Oral Implantology Specialist | |
Expert Implantology | |
ISOI及びDGZI日本支部認定 | Authority of Implantology( 認定専門医) |
Clinical Oral Implantology(認定医) | |
認定歯科衛生士 | |
インプラントコーディネーター | |
認定歯科技工士 |
学会の認定は歯科医選びの基準になる?
学会の認定は、インプラント分野への専門性や実績を示す指標にはなりますが、歯科医としての技術力の高さを証明するものとは限りません。
学会認定は専門性を示す指標のひとつ
様々な症例をいくら経験していたからと言って、その後の満足度や治療後の長期での経過など、資料や試験だけではチェックしきれない部分もあるからです。
とはいえ、ハイランクの資格を有するインプラント治療医であれば一定の「実績」と「専門性」両方を有していることの証明とは言えます。
自分に合った良い歯科医選びは様々な角度から
歯科医選びでは学会の認定は参考にしつつも、鵜呑みにはせず、実際に相談してみて実績や説明のわかりやすさなども重要視することも大切です。
ぜひ、データや情報、資格の内容をみながらも、自分自身の目で信頼できる歯科医師を選びましょう。
まとめ
インプラントに関する国内で活動している大きな学会は、主に以下の4つ。
- 日本口腔インプラント学会
- 日本顎顔面インプラント学会
- 国際インプラント学会(ICOI)
- 国際口腔インプラント学会(ISOI)
それぞれの学会において、インプラントに関する研究や資格認定、研修などが行われており、資格の認定歯科医は高い専門性があると判断できます。
とはいえ、いくら腕利きのインプラント治療医であっても自分自身が信用できないと感じてしまうと、通うのがおっくうになり、ケアが十分できない可能性もあります。
最終的には自分自身の目で口コミをチェックするほか、実際に相談に行って納得のいく歯科医を選ぶのがベストです。
歯科医選びに迷った際は、ぜひ気軽に相談に行ってみてください。
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