オールオン4とは?メリット・デメリットと総入れ歯との違い
インプラントの治療方法の一つ「オールオン4」。
オールオン4は、数本のインプラント体で全体の歯を支えることが可能な治療法です。
今回は、オールオン4の仕組みとメリット・デメリット、入れ歯との違いなどをわかりやすく解説します。
近年注目を集めるオールオン4について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
オールオン4とは
オールオン4とは、多くの歯を失ってしまった方に有効なインプラント治療法の一つです。
最小で4本のインプラント体に対して片あご全体の義歯を取り付けることで、噛む機能や美観を回復することが可能です。
抜歯からインプラント埋入、仮歯の装着までたった1日で終わるので、患者の方の負担も少なく済みます。
オールオン4の仕組み
オールオン4は、総入れ歯のように12本が一体となった義歯を、顎の骨に埋入した4本~6本のインプラント体で支える仕組み。
傾斜角をつけ、斜めにインプラント体を埋入することで安定した固定を実現する技術です。
多くの歯をなくしている方の場合、従来であれば片あごで8~14本ものインプラント埋め込みが必要でした。
オールオン4を使えば4本のインプラントで義歯を支え、同等の機能を実現できます。
1つのオールオン4で片顎すべての歯をカバーする
オールオン4で取り付ける義歯は、数本の歯だけを補うものではなく、片顎すべての歯の代替となります。
よって、総入れ歯を利用していた患者の方にも適用可能。
また、まだ歯が残っているけれど機能的に不便があり、すべての歯を抜いてインプラントにしたい方にも適しています。
オールオン4がおすすめの人
オールオン4がおすすめなのは、以下の条件にあてはまる方です。
歯がすべてない・ほとんど残っていない人
オールオン4は、顎全体の歯を補う治療法。
よって、歯がすべてない方や、ほとんど残っている方に適していると言えます。
逆に、1、2本のみ欠損しておりほとんどの歯が残っている方は、1本ずつ埋入するインプラントやブリッジなど他の治療法がおすすめです。
あごの骨がやせてしまっている人
オールオン4は、顎の骨が痩せてしまっている方でも、全体の歯を補う治療法として向いています。
一般的なインプラント治療では、顎の骨に十分な厚みを確保する必要があります。
一方、オールオン4は一部の顎の骨が痩せてしまっていても、インプラント体を埋入する箇所の顎の骨さえ適度な厚みが確保されていれば埋込可能です。
状態の良い部分の顎の骨をうまく活かして治療できるのが、オールオン4の良いところでもあります。
総入れ歯に不満がある人
総入れ歯に不満がありしっかりと自分の歯のような義歯を利用したい方にも、オールオン4は最適。
総入れ歯は手軽な反面、食事のしやすさや見た目などのデメリットがあります。
オールオン4でのインプラント治療なら一般的な入れ歯の問題点を解決しやすいため、不満のある方にとっては検討する価値のある治療法と言えます。
オールオン4によるメリット
オールオン4でインプラント治療を受ける主なメリットは、以下の4点です。
強く噛むことができる
オールオン4は、インプラント体で全体の義歯をしっかりと顎の骨に固定するため、強めに噛むことも可能。自分の歯のような噛み心地を実現します。
固い食べ物やよく噛む必要のある食べ物でも、安心して食事を楽しめるのは大きなメリットと言えます。
身体への負担が少ない
オールオン4は最小4本のインプラント体を即日埋入・義歯装着まで行うため、患者の負担が最小限で済みます。
多数の欠損歯を補うインプラント治療における身体への負担として、よく挙げられる以下の問題を解消する治療法と言えます。
- 治療期間が長い
- 埋入する本数が多い
- 外科治療を複数回行う必要がある
インプラント治療で多数の義歯を入れたいけれど身体への負担が心配、という方にとっては大きなメリットです。
通常のインプラントより費用を抑えられる
オールオン4は、インプラント体を埋入する本数が4本~6本のみ。
12本すべての義歯を1本ずつインプラント治療するよりも費用が抑えられます。
顎全体の歯をインプラント治療したい方にとって、費用面で比較的手を出しやすい治療法です。
顎の骨への影響も少なく若々しさを保てる
オールオン4はインプラント体を直接顎の骨に打ち込むため、毎日しっかり噛むことが顎への刺激になり、顎骨の吸収・変形を抑えることが可能です。
フェイスラインの変形も抑制され、顔全体の印象を若々しく保つことができるのは大きなメリットと言えます。
オールオン4によるデメリット
ここでは、オールオン4によるデメリットをご紹介します。
外科手術が必要になる
オールオン4で行う治療は、歯茎を切開し、顎の骨にドリルで穴をあけてインプラント体を埋入する外科手術です。
そのため、一般的な外科手術と同様に、リスクがあります。
全身状態に心配があり、外科手術が難しい方にとってはむいていない治療法です。
健康な歯も抜歯することになる
オールオン4は総入れ歯のような形状の義歯を装着する治療法。
自分の歯が残っている状態ではオールオン4の治療を適用できません。
オールオン4を適用したいのであれば、残っている歯が健康であってもすべて抜歯する必要があります。
治療可能な歯科医院が限られる
オールオン4は患者にとってメリットが大きい治療法である一方で、少ない本数のインプラント体でしっかりと12本の義歯を支える必要があるため、手術には高い技術が必須です。
インプラント治療は扱っていても、技術や設備的な問題でオールオン4の治療に対応していない歯科医院も少なくありません。
治療を受けたい方は、まず通える範囲でオールオン4の治療に対応できる歯科医院があるかを検討する必要があります。
保険適用外で治療費が高い
オールオン4でのインプラント治療は、保険適用外です。
すべてが実費負担となりますので、保険適用可能な治療法と比較すると非常に高額。
一般的には上下の顎の骨どちらかの治療だけでも200万円前後はかかると言われています。
費用をあまりかけたくない方にとって、オールオン4は向いていない治療法と言えます。
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治療後もメンテナンスが必要
オールオン4は一度インプラントを埋入したら終わりではありません。
オールオン4を支えるインプラント、および義歯周辺の組織の定期的な確認と継続的なメンテナンスが必須です。
メンテナンスを怠り、インプラント周囲炎にかかってしまうと、オールオン4で取り付けた義歯全体を失う事にも繋がります。
必ず定期メンテナンスは受けましょう。
総入れ歯とオールオン4、どっちがいい?
ここでは、総入れ歯とイールオン4を比較してどっちが良いか、解説していきます。
オールオン4と総入れ歯の違い
オールオン4と総入れ歯の違いを、表にまとめてみました。
オールオン4 | 総入れ歯 | |
---|---|---|
費用 | 200~400万円(保険適用外) | 3万円前後(保険適用) |
手術 | 外科手術あり | なし |
噛みやすさ | 自分の歯のように噛める | 噛む力は自分の3分の1以下 |
快適さ | 違和感がほとんどない、話しやすい | 違和感が強い |
痛み | 治癒後はなし | 擦れやズレで痛み有 |
審美性 | 違和感なく美しい、顎の骨の吸収が抑えられ若々しい印象を保ちやすい。 | 外れやすく会話の際に違和感があるケースも。骨吸収が進み老いた印象になりやすい。 |
適用範囲 | 全身状態などにより適用できないことも | 広い |
手術後のQOLは格段にオールオン4が上回る
各項目を比較してみると、手術を受けた後の生活面ではオールオン4のほうが快適性、審美性ともに優れています。
自分の歯のように噛めて、見た目にも自然なのがうれしいポイント。
さらに、インプラント体を顎の骨に埋入して支えるため、顎の骨に刺激が与えられて骨吸収が防がれるのもメリットです。
骨吸収が防がれることで、顎のラインの変形を抑えられ、若々しい印象を保ちやすくなります。
費用と適用範囲は総入れ歯が優秀
費用面と適用範囲に関しては、総入れ歯の方が優秀です。
オールオン4は外科手術、かつ顎の骨にインプラント体を埋入するため、全身や顎の骨、歯肉の状態によっては適用できません。
一方、総入れ歯は上からかぶせるだけですので、全身状態が悪くても適用しやすいというメリットがあります。
基本的には保険適用で作れますので、費用が安く済むというのも魅力です。
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総入れ歯とオールオン4、どちらを選ぶべき?
ここでは、総入れ歯とオールオン4どちらを選ぶべきかを解説します。それぞれ適している方が異なりますので、どんな方にとっておすすめなのかを見ていきましょう。
オールオン4がおすすめな人
オールオン4がおすすめなのは、200万円前後の費用負担を加味しても
- しっかり噛める歯が欲しい
- 痛みのない義歯を求めている
- 審美性に優れた義歯がほしい
といったニーズを持つ方です。
オールオン4は、総入れ歯と比較してあらゆる面で優れていますが、費用が非常に高額であること、総入れ歯と比較して適用範囲が狭いのがデメリットです。
逆に、費用面と適用可能かの2点がクリアになれば、オールオン4は生活の質を向上するには良い治療法と言えます。
総入れ歯がおすすめな人
総入れ歯がおすすめなのは、下記の3点に当てはまる方。
- 全身状態や顎の骨の状態が悪くオールオン4が適用できない
- 歯の治療費に高額な費用はかけたくない
- 噛む力が弱くなってしまっても許容できる
費用面ではオールオン4と比較して総入れ歯の方が圧倒的に安く済みますので、治療にお金をかけたくない方には良い方法です。
また、喫煙習慣がある方や、歯周病が進行している方など、全身状態によってオールオン4が適用できない方にとっても、総入れ歯は適していると言えます。
オールオン4の費用相場
オールオン4の一般的な費用相場としては、200~300万円ほどが一般的です。
中には150万円ほどで治療できる歯科医院もありますが、一方で400万円程度かかるケースも。
歯科医院やお口の中の状態によって治療費用は大きく変わります。
コストパフォーマンスの高いオールオン4
オールオン4は一見高額に見えますが、インプラント体4~6本で片顎全体の歯を支えるため、12本の歯をすべてインプラントで1本ずつ治療するよりは費用が抑えられます。
具体的には、12本の歯をすべて1本40万円かけて治療すると約480万円もの費用負担がありますが、オールオン4の場合は200~300万円ほど。大きく費用が異なります。
また、入れ歯とは費用面では比べ物になりませんが、オールオン4導入による生活の質向上を考慮すればまったく別物の治療法と言えます。
根本的に「自分の歯のように噛める・ふるまえる」という点を重視するのであれば、費用負担を考慮しても十分に検討の価値ある治療法です。
全ての歯をインプラント治療する際の費用負担などについて、詳しくは下記記事を参考にしてください。
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オールオン4の費用を抑える方法はある?
オールオン4の医療費負担を抑える方法としては、医療費控除の利用が最適です。
保険適用は難しいものの、医療費控除を利用できる
オールオン4は保険適用外の治療のため、原則負担軽減をするのは難しいですが、確定申告をして医療費控除を申請することで、税金の一部が戻ってきます。
金額によってはまとまった税金がもどってくることもあるため、ぜひご検討ください。詳しくは、下記記事で紹介しています。
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一時的な出費を抑えるならデンタルローン活用も
オールオン4にかかる費用を一度に払うことが難しい場合は、デンタルローンを活用する方法もあります。
デンタルローンは一般的なフリーローンよりは金利が安く、目的もはっきりしているため借りやすくなっています。
計画的にお金を返していけるのであれば、ローンの活用も視野にいれてみましょう。
オールオン4手術前後の注意事項
オールオン4の手術を受ける前後では、以下の点にご注意ください。
手術後は柔らかいものを食べる
オールオン4のメリットの一つが、手術当日から仮歯が入り食事が楽しめること。
とはいえ、あくまでも手術直後で患部が完全に治癒しているわけではありません。
手術後は、患部に必要以上の刺激が加わらないよう、柔らかいものを中心に食べる必要があります。
無理に硬いものを食べようとすると、結合しきっていないインプラント体がズレて脱落してしまったり、治癒が遅くなったりする原因になります。
また、仮歯の耐久性も最終的な義歯よりも劣るため、ご注意ください。
手術後3週目はインプラントが緩む時期
手術直後は顎の骨にインプラント体がしっかりと埋め込まれ、機械的に固定された状態。これを一次固定と呼びます。
術後3週目ごろには、この一次固定がゆるみ、二次固定(骨とインプラント体との結合)が進みます。
この時期はインプラントの固定が不安定ですので、無理な力を加えるとゆるみ、脱落する危険性があります。硬いものを食べないよう、ご注意ください。
手術前後の飲酒・喫煙はNG
インプラント手術前後の飲酒・喫煙は絶対にNGです。
飲酒や喫煙により、血行が良くなりすぎたり、逆に血行不良を起こし治癒不全を起こしたりと、大きな悪影響があります。
医師からの指示にきちんと従い、くれぐれも手術前後の飲酒・喫煙は控えるようにしましょう。
オールオン4で歯磨きはより丁寧に
オールオン4の治療を受けた後、最も大切なのは日常のセルフケア。
自分の歯よりも、より丁寧に磨く必要があります。
具体的には、通常の歯ブラシでのブラッシングに加え「ワンタフトブラシ」と呼ばれる、ブラシが一束になっているブラシを使用します。
通常の歯磨きだけではなく、ワンタフトブラシで歯と歯茎の隙間までしっかりと清掃し、歯間ブラシなども活用するのがポイントです。
丁寧な歯磨きは、インプラントの寿命を長くします。ぜひ、実践してみてください。
まとめ
オールオン4は、入れ歯のような義歯を4~6本のインプラント体で支える治療方法。
自分の歯のようにしっかりと噛んで食事を楽しめるため、近年注目されています。
よく比較対象とされる「入れ歯」での治療に比べると、費用負担や適用範囲がデメリット。
とはいえ、審美性や機能性を考えると、QOL向上のためには非常に良い選択肢とも言えます。
最終的には、費用だけではなく今後の生活面や機能的なメリットなどをしっかりと比較し、ぜひ後悔のない方法を選んでください。
治療法で迷っている方や興味のある方は、まずはどの治療法が適しているか、信頼できそうな歯科医院でカウンセリングを受けてみましょう。
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