インプラント治療情報と歯科クリニックの比較検索ポータルサイト

GBR法の特徴や治療の流れ|インプラント治療に必要な骨量を補う治療の方法

インプラント治療を行う条件のひとつは十分な骨があること。GBR法は、骨の量が不足していて手術が行えない場合に、足りない分の骨を補う治療方法です。通常であればインプラント治療ができないと判断されるような症例でも、骨の再生ができれば可能になるかもしれません。

今回はGBR法の特徴や治療の流れなどとともに、メリットや注意点などについてご紹介します。

GBR法とはインプラント治療に必要な骨を再生させる治療法

GBRはGuided Bone Regenerationの略称で、日本語では骨誘導再生(こつゆうどうさいせい)と訳されます。
名前の通り、欠損した骨の再生を促す治療方法です。

骨の再生を誘導してインプラント治療をできる状態に導く

GBR法の大きな特徴は、骨を移植し定着させるのではなく、新たな骨が造られるよう導くことです。

インプラント治療を行うにはいくつかの条件がありますが、骨の厚みや幅、量が十分にあることは、第一の条件といわれています。
骨とは、具体的にいうと歯を支える土台である歯槽骨やアゴの骨のことです。

人によっては虫歯や歯周病などにより、治療を行えるだけの骨が不足している場合があります。歯を支えている歯槽骨やアゴの骨は、歯周病になったり歯を欠損した場合、徐々に痩せて吸収されていくからです。

時間が経てばたつほど骨は衰えます。

骨が衰えた状態で無理にインプラント治療を進めたとしても、インプラントが安定しない状態になったり、骨の厚みがなくなり治療自体が困難になる場合もあります。目安としては、一般的に骨の厚みが5㎜以下の場合はインプラント埋入が困難と判断されることが多いようです。

GBR法は、現状では骨が不足していてインプラント手術ができない場合でも骨組織を修復し、再生して治療ができるように導く治療といえます。

こちらも読まれています

インプラント治療で行うGBR法の治療内容

GBR法の主な使用材料は自家骨や人工骨

一般的に、GBR法は自家骨か人工骨などを移植して使用し、骨再生を図ります。

自家骨とは、自分の骨のことです。主に骨盤の一部である腸骨や、アゴの骨が活用されます。
人工骨は、骨補填材とも呼ばれ、ハイドロキシアパタイトやB-TCPなどのリン酸カルシウム系の材料を使用されることが多いです。

人工骨を使用する場合は、基本的には自家コツと併用するのが主流です。人工骨の場合、骨の代用として使う分には問題ないものの、骨再生を誘導する力はないからです。
GBR法は、骨を移植し、定着させるのではなく、新たな骨が造られるのを待つ治療なので、自家骨も人工骨も細かく粉砕されたものを使用します。

人工の膜を使用しGBR法の完了を待つ

自家骨や人工骨を移植した部分には、人工の膜をかぶせたり、歯肉と骨との間に設置するなどして、骨が再生するのを待つのが一般的です。
膜を除去すると、インプラントに適した骨が膜の下に再生しているという流れになります。

人工の膜には生体材料から出来たメンブレンと呼ばれる特殊な素材が使われることが多いです。メンブレン以外には、チタンメッシュが使われることもあります。

メンブレンには吸収性と非吸収性のものがあり、最近は自然に体へ吸収される素材を使用するのが主流です。
ただし、骨を造る量が多い・少ないによって使用するものは異なり、造成する量が多い場合は非吸収性のものを使用することが多いようです。
非吸収性のメンブレンを使用した場合は、骨再生完了後に取り外します。

メンブレンのように人工の膜を使用する目的は、骨を造成する間、歯肉などが入らないよう保護するためです。歯肉のほうが骨より再生スピードが速いので、人工の膜を設置しないと骨が再生するためのスペースに歯肉が入り込み、埋まってしまう可能性があります。

骨の高さが足りない場合にもGBR法は有効

GBR法は骨の幅や厚みだけでなく、高さを増やすときにも行われることがあります。
骨の高さが必要な治療としては、上顎、前歯のインプラント治療が一般的です。
前歯のインプラント治療をする場合は骨の高さがそろっているほうが、より自然な仕上がりになるからです。

骨の高さを増やすGBR治療は通常より難易度が高め

骨の高さを増やすために行うGBR法は、通常の治療に比べ難易度が高いといわれています。ある程度歯肉の伸縮性がないと、高さを確保するのが難しかったり、骨の高さを出すためのスペースが確保しづらいケースもあるからです。
特に、歯が多数欠損した場合にGBR法を行う場合は、義歯を使用することになります。義歯によって歯肉が圧迫され、骨が再生するだけのスペースを確保しづらくなることが多いようです。

インプラント治療にGBR法を組み入れる場合の治療期間

GBR法で骨再生が完了するのに平均3~6カ月は必要

GBR法を行う場合の治療期間は、骨の再生におよそ3~6カ月の期間が必要です。
ただし、骨の高さを補うためにGBR法を行う場合は、一般的な場合より長い8~10ヶ月ほど見ておく必要があります。状態によっては1年程度かかることもあるようです。

GBR法はインプラント治療前か同時に行うのが一般的

GBR法は主にインプラントを埋入する手術の前に行う場合と、手術と同時に行う場合とがあります。
どちらのタイミングで行うかは、増やす骨の量が多い場合は手術の前に治療を行い、少ないときは手術と同時に行うというように、再生する骨の量で決まるのが一般的です。
その他、もともと骨の幅が大きくない人は、GBR法で治療を行ってからインプラント手術に入ることが多いです。

インプラント手術の前にGBR治療を行う場合の流れ

まずは、GBR法を行ってからインプラント手術に進む場合の、一般的な治療の流れをご紹介します。

  1. 骨が足りない部分の歯肉に自家骨か人工骨を入れる
  2. 人工の膜(メンブレンなど)で包んで固定する
  3. 3~6か月ほど待機する
  4. 骨再生が確認できたら人工の膜(メンブレンなど)を取り外す
  5. インプラントの手術を行う

インプラント治療の前にGBR法を行う場合、不足している骨の量が多ければ何度かGBR法を行ったり、歯肉を切開して歯槽骨の根元に注入することもあります。
GBR法が終わってから、インプラントの埋入に進むので、人によっては治療が長引くこともあるでしょう。

GBR法と同時にインプラントを埋める場合の流れ

増やす骨の量がさほど多くないときや、ある程度骨が残っている場合は、インプラントの埋入手術とGBRを同時に行うこともあります。大まかな治療の流れは、埋め込んだインプラントを支柱にして骨の再生を図るイメージです。

  1. インプラントを埋め込む
  2. 骨が足りない部分に自家骨か人工骨を足し、メンブレンで覆って固定する
  3. 3~6か月ほど待機する
  4. 骨再生とインプラントの固定を確認したらメンブレンを除去し、上部構造を装着する

インプラント治療にGBR法を加えた場合の費用相場

GBR法を含め、トータル50~70万円が目安

GBR法の費用相場は、およそ5~20万円といわれています。
一般的なインプラント治療の相場が30~50万円といわれていることから、GBR法の費用が20万円かかった場合、総合的な金額としては50~70万円ほどが相場と考えられます。

インプラント治療と同じく、GBR法は自由診療となることがほとんどです。
歯科医院の方針によって使用する素材や料金設定が変わるため、実際かかる費用は歯科医院ごとに差が生まれやすいです。
場合によっては、相場より高い費用がかかることもあるでしょう。
住んでいる地域によっても多少相場より高い・安いの差が出やすいので、まずは情報を集めるのも大切です。

費用についてはトラブルも起こりやすい部分です。
料金設定については事前に確認し、あいまいではなく、明確な理由を説明してもらえるクリニックを選ぶほうが安心です。

こちらも読まれています

GBR法をインプラント治療とともに行うメリット

骨が不足していてもインプラント治療できる可能性が高まる

GBR法のメリットで大きなことは、インプラント治療ができる人の幅が広がることです。
通常なら骨の厚みや高さなどが不足していて治療が困難と判断される場合でも、GBR法によって骨再生ができればあきらめずにすむかもしれません。
インプラント手術と同時に行える程度であれば、手術回数も少なく患者側の負担も少ないはずです。

インプラントの安定を高める

GBR法を行うことのメリットには、インプラントの安定性が高まるとことも考えられます。
骨が十分にない状態で無理にインプラントを埋め込んでも、安定せず最悪は抜け落ちる可能性があるからです。
GBR法によって骨再生を導くことで、インプラント埋入に必要な土台ができ、しっかり安定させられるようになるでしょう。

前歯のインプラント治療ではより自然な仕上がりに

垂直方向に骨造成を誘導できるのもGBR法のメリットのひとつです。
特に前歯を失うと、歯肉の位置が変わるため、そのまま治療するとバランスが悪くなりやすい傾向があります。
垂直に骨の量を増やせれば、高さを補うこともできるため、GBRを行わないときと比べて歯肉と歯冠のバランスが自然になりやすいといわれています。

インプラント埋入にGBR法を行うことのデメリット

インプラント治療完了までの期間が長引く

GBR法では、骨が再生するまで約3~6カ月の期間が必要です。
インプラント手術を同時に行えないケースでは、骨再生が確認できてから改めてインプラント治療がスタートするので、さらに長い期間を見ておかなければなりません。
治療期間が長引くことは患者自身の負担になる可能性はあるでしょう。

GBR法によって腫れや痛みが起こることも

人によってはGBR法による治療を行うことで、腫れや痛みを引き起こすことがあります。
症状が出た場合は、痛み止めを処方してもらえることが多いので、歯科医に相談しましょう。
腫れや痛みの問題は通常のインプラント治療でも起こることがあるものなので、その都度相談しながら乗り越えましょう。

インプラント治療でGBR法を受ける場合の注意点

GBR法の治療を受けた際は圧迫や刺激を避ける

インプラント治療とともにGBR法を行う場合は、落ち着くまで圧迫したり、負荷をかけるのは避けることが大切です。
治療した部位が落ち着くまでは、圧迫すると貧血になりやすく、回復が遅くなるからです。
うつ伏せで寝る癖がある場合は、なるべく仰向けで寝るように意識するなど、生活の中でも配慮が必要です。
負荷をかけないこと以外に、刺激を与えないことも大切です。GBR法による治療直後に刺激を与えると、骨が変形してしまうことがあるからです。
歯ブラシをするときに治療した部分をつついたり、指で触ったりしないよう気を付けましょう。

GBR法には医師の技術力が必要

GBR法は歯科医師の高い技術力を必要とする治療です。
治療次第では、細菌感染を引き起こすことがあるからです。
その他、前歯の治療ではトラブルのリスク以外にも、審美面でのテクニックも必要です。
インプラント治療を受ける歯科医院を探す場合と同じように、GBR法について実績が豊富だったり、自分の症状に近い症例の治療経験がある歯科医を選ぶほうがいいでしょう。

GBR法による骨再生には限界がある

GBR法はインプラント治療の可能性を高めるとはいえ、限界もあります。
骨を再生するにはある程度土台となる骨が残っていなければなりません。
欠損の度合いが大きい場合や、回復が困難なほど骨が吸収され、痩せている場合は治療ができない場合もあります。
最後は歯科医の判断になりますが、的確な診断をしてもらえる歯科医院選びをすることが大切になるでしょう。

こちらも読まれています

GBR法が可能ならインプラント治療を諦めずにすむ可能性がある

高い技術力が必要なGBR法。信頼できる歯科医院や歯医者選びを

GBR法は自家骨や人工骨などを使って欠損した骨の再生を助け、造成するのを待つ治療法です。
通常、インプラント治療は歯を支える土台となる歯槽骨がないと治療が困難です。
ですが、GBR法によって骨再生ができれば、インプラント治療を受けられるかもしれません。
これまでインプラント治療を諦めていた人も、治療できる可能性が出てくるでしょう。

GBR法の治療は歯科医の技術力や、治療内容についての的確な判断が必要です。
費用についても、インプラント治療費用とは別に請求されるケースが多いので、事前に確認しておくことが大切です。
まずは、インプラント治療と合わせて、GBR法のことも相談できそうな歯科医院、歯科医を探してみてはいかがでしょうか。

インプラントに関する記事一覧