インプラント治療の安全性と安全性を高める歯科医院の選び方
インプラント治療を受けるにあたり、治療の安全性は非常に気になるでしょう。インプラント自体が人工物であるとともに、治療には外科的手術を伴う以上、リスクの不安はつきものです。
今回はインプラント自体や手術におけるリスクを知った上で、患者として安心して治療を受けるための歯科クリニック選びについてご紹介します。
インプラント自体の安全性|耐久性が高くトラブルも少ない
チタン製インプラントは高い安全性のお墨付き
現在製造されているインプラントは、純チタンやチタン合金などのチタン製です。チタンはCTやMRIの検査にも影響が起こりにくく、安全性が高い素材といわれています。
人工関節や骨折治療のボルトにも使われるほど人間の体になじみやすく、金属アレルギーを起こす可能性が低いことも理由にあげられます。
チタン製のインプラントに移行する以前は、ほかの金属もインプラントに使われていました。使用される金属の種類によっては、金属アレルギーを持つ一部の患者は治療にリスクを伴うこともあったようです。しかし現在は素材によるトラブルのリスクは低く、インプラント自体の安全性についてはお墨付きがあると考えていいでしょう。
耐久性もあるチタンはインプラントに適した素材
チタンを使ったインプラントは、安全性だけでなく耐久性も高いのが特徴です。
一般的に、きちんとした治療、毎日のケアや定期的なメインテナンスを行えば、天然の歯と同じくらいの耐久性があるといわれています。
入れ歯のように外れる心配をせず、快適な日常が送れるでしょう。ただし、定期的なメインテナンスを怠れば、インプラントを支える歯茎や骨にインプラント歯周炎を起こしやすくなります。インプラント歯周炎は歯周病に似た炎症で、自覚症状がないことも多いため、注意が必要です。重度になると、最悪はインプラントの脱落が起こるリスクもあります。
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チタンがインプラントで使われる理由
インプラント治療を受けるにあたり、治療の安全性は非常に気になるでしょう。インプラント自体が人工物であるとともに、治療には外科的手術を伴う以上、リスクの不安はつきもの…
インプラント手術の安全性|想定される5つのリスク
手術をする以上、100%安全が保証されるわけではない
インプラント手術時は麻酔をかけるため、インプラント1本程度の手術であれば、痛みは親知らずの抜歯程度といわれています。手術時に強い痛みを感じる心配はほとんどないと言っていいでしょう。
インプラントは人工物ではあるものの体になじみやすい素材です。体が拒否反応を示すことも少ないと考えられ、適切な治療が行われれば安全面でも問題ないでしょう。
とはいえ、手術をする以上は100%安全とは言い切れません。多少のリスクは考えられます。
<インプラント手術のリスク>
- 誤って血管を傷つけたことによる大量出血
- 神経の損傷
- インプラントの脱落
- 麻酔による体調の異常
- 細菌感染
リスク(1)血管を傷つけたことによる大量出血
人間には無数の血管が通っていますが、口の中も例外ではありません。大きな血管も通っているため、インプラント手術中に誤って傷つければ、大量出血につながる可能性があります。
インプラント手術のリスク(2)神経の損傷
下アゴの骨の中には、下顎管と呼ばれる神経が通っています。
インプラントを埋入する際、誤って下顎管を傷つけると、治療後にしびれや感覚がなくなるなどの症状が出るという安全面でのリスクがあります。実際、患者の中には手術後に無意識に唇を噛んでしまい、出血を起こすといったトラブルも出ています。しびれについては、インプラントが神経を圧迫することでも起こることがあります。
リスク(3)インプラントの脱落
上アゴに並ぶ歯の骨は、上顎洞と呼ばれる鼻の両サイドにある空洞とつながっています。上アゴの骨は薄いため、インプラントを上あごの歯に埋入するときに上顎洞を突き抜けてインプラントが脱落から炎症を起こすリスクがあります。
安全に手術を終えるにはインプラント治療の経験やしっかりした技術力を持つ医師を選ぶのがベターです。
リスク(4)麻酔による体調の異常
インプラントの手術時は局部麻酔を行いますが、麻酔である以上体調の異常が起こるリスクがあります。
薬剤アレルギーがある場合は特に安全面での注意が必要です。
リスク(5)細菌感染
手術時の安全管理は重要ですが、同時に衛生管理も大切です。インプラントを埋入する場所は口の中で、雑菌も多い場所だからです。
手術が無事終わっても感染予防の投薬や口の中のケアなど、適切な予防を行わないとインプラントが細菌感染し、炎症を引き起こすリスクがあります。
インプラント手術の安全性を高める歯科医院の選び方
インプラントの安全性を高め、安心して治療を受けるには歯科医院選びが重要です。クリニック選びのポイントをいくつかご紹介します。
- 丁寧な術前検査
- 使用するインプラントの種類
- 医療設備やスタッフの充実
- 医師の技量
- 衛生管理の徹底
- 定期的なメインテナンス体制
安全性を高める歯科医院選び(1)丁寧な術前検査
インプラント治療を安全に終えるには、事前の術前検査が適切でないといけません。
検査が不適切だと、トラブルのリスクはもちろん、再手術が必要になることもあるからです。
インプラント治療は、人によっては単純にインプラントを埋入するだけだとインプラントと骨とが結合しないことがあります。そのままの状態で結合できない場合は、事前に特別な処置を行い、状態を改善してからでないと治療が始められません。
検査がずさんだと、インプラントが抜け落ちて再治療という二度手間になる可能性があります。反対に、丁寧な検査が行われる歯科医院ならば、スムーズな治療が期待できるでしょう。
血液検査がある歯科医院なら高い安全性が期待できる
歯科医院選びを選ぶときは、口内のチェックだけでなく、カウンセリングで既往歴や薬物アレルギーの有無、服用している薬などを聞いてもらえるかなどもチェックしましょう。
血液検査を行っているクリニックは、安全性をより考慮していると考えられます。血液検査は、医師にとって、患者自身が感じていない体の不調や病気を把握するのに有効な手段だからです。
歯科医師にとっても、事前に患者のアゴの骨の状態や健康状態を聞くことはインプラント治療を安全に行うために大切なことです。生活習慣病や精神疾患など、手術に影響を及ぼす疾患については、事前に把握しておく必要があります。
安全性を高める歯科医院選び(2)使用するインプラントの種類
インプラントは世界中で100種類以上あるとされ、歯科クリニックによっても使用するインプラントは異なります。
一般的に世界的にシェアされているメーカーのインプラントのほうが、普及が進んでいないインプラントより安全性が高いといわれています。シェア率の高いインプラントほど、多数の症例に使われ問題がなかったと考えられるからです。
加えてシェア率の高いインプラントには、事情があって治療やメインテナンスが受けられなくなっても、ほかの歯科医院でも扱っている可能性が高いというメリットもあります。
シェア率も含め、安全にインプラント治療を受けるには、自分の歯や骨の状態にあった種類のインプラントを使うことが大切です。
安易に同意せず、インプラントの種類についても説明を聞き、納得してから治療を開始しましょう。
安全性を高める歯科医院選び(3)医療設備やスタッフの充実
歯科医師にとって、安全なインプラント手術を行うには患者のアゴの骨の状態を正確に知ることが大切です。
アゴの骨の状態を正確に知る手段として用いられるのが、歯科用CTです。CTとはX線を利用して体内の断面図を撮影する技術です。
よく知られているレントゲンもX線を利用しますが、レントゲンが2次元であるのに対し、CTは3次元で撮影できます。レントゲンより、立体的に周りの歯や神経、血管、骨など状態を正確に把握できるのがメリットです。手術中、誤って損傷するトラブルリスクは減るでしょう。
歯科クリニックによっては安全性を高めるため、治療計画をサポートするためにCTで撮影したデータと手術のシミュレーションができるソフトを導入している場合があります。
人それぞれ骨の形や質、高さ、幅は異なり、骨の中には神経や太い血管が通っています。
ソフトにより安全な手術のシミュレーション、実際の手術時にはガイドとして治療をサポートできるシステムが導入されていればさらに安全といえるでしょう。
歯科医院ごとに、医療設備による安全面への配慮はことなります。歯科医院選びの際は医療設備にも目を向けてみてください。
専門の麻酔科医を置いていれば安全度さらにアップ
歯科医院によっては、インプラント手術中の安全対策として、麻酔科医や体調管理専門の医師を常駐していることがあります。
生活習慣病などの持病がある人は、手術中に体調が急変するリスクがないわけではありません。手術中、患者の心拍数や血圧、酸素飽和度を管理してくれる専門の医師や、緊急事態に対応できる麻酔科医がいると、より安心して治療に臨めるでしょう。
麻酔科医や専門医がいる歯科医院では静脈内鎮静法を扱っている場合もあります。静脈内鎮静法は、うとうと眠ったような状態で手術が受けられる方法で、患者の恐怖心を和らげ安全に手術が行えるようにする目的の麻酔です。
安全性を高める歯科医院選び(4)医師の技量
インプラントの安全性に影響する手術のリスク。
リスクを引き起こす要因のひとつには歯科医師の技量不足が関係しています。
歯科医師の技量を見極めることは容易ではありません。ですが、自分と似た症例を扱った経験があるかや、ホームページなどでこれまでの症例や資格などが目安になることがあります。
自分と似た症例を扱った経験があれば、症例写真を見せてもらいながら説明を受けるのもひとつです。
治療計画も、噛み合わせの変化や、手術のリスク、治療後のトラブルの可能性について説明があるか確認しましょう。
安全なインプラント治療には歯科医師との相性も大切
歯科医院を選ぶ際は、検査や医療設備など以外にも、歯科医師との相性も大切です。
相談した歯科医師は、患者の不安や疑問をきちんと聞いて応えてくれるか、希望する治療内容を正しく理解した上で治療方法を提示してくれるかなども歯科医院選びのポイントです。
インプラント治療について豊富な知識や経験、技術を持っている医師ならば、相談に対して複数の治療の選択肢や、それぞれの治療方法のメリット、デメリットなども教えてくれるはずです。
治療によってどの程度希望が実現可能できるか、あるいは限界はどこまでかも説明してくれるでしょう。
相性を見る上で、患者が結論を出すまで待ってくれるかどうかもポイントになるでしょう。
インプラントの治療は、一般的な病気と異なり、すぐに治療をしないといけないというケースは少ないです。きちんと説明を受け、納得した上で治療に進むことが大切です。
治療や決断を急がせるような歯科クリニックは避けたほうが無難です。
納得がいかない場合はセカンドオピニオン、サードオピニオンを受けるという手段もあることを念頭に、じっくり歯科医院選びをしましょう。
安全性を高める歯科医院選び(5)衛生管理
インプラントの手術を安全に行うには、手術室が清潔で衛生管理が徹底されていることも重要です。インプラント手術によって治療部位が細菌感染すると、インプラント周囲炎や脱落のリスクが生まれるからです。衛生管理が徹底されているかどうかで、清潔度や感染リスクは大いに変わってくると考えられます。
手術に使う器具の洗浄・滅菌の徹底、患者に触れるものは使い捨てのものを使用するなど、歯科クリニックの衛生管理についても確認しましょう。手術室に空気清浄機が設置されていれば、より安心です。
歯科クリニックによっては、手術時の細菌感染を防ぐためにインプラント手術専門の歯科衛生士を置いているケースもあります。
ただし、手術室(クリーンルーム)が用意されていない歯科クリニックでも、空気清浄機の設置や清掃、滅菌の徹底が行われていることもあるので確認してみてください。
安全性を高める歯科医院選び(6)メインテナンス体制
インプラント治療は、手術をして終わりではありません。
安全に長く使うためには、定期的なメインテナンスも大切です。
手術後、メインテナンスを放置すると口の中の状態が悪化し、トラブルを生むこともあるからです。
歯科医院を選ぶ際は、治療後のメインテナンスの重要性の説明や、責任を持ってメインテナンスしてくれるクリニックを選ぶことが大切です。
安全なインプラント治療は、治療前の確認が大切
安全面で不安な点はインプラント治療前に歯科医師やクリニックに相談を
インプラント治療において、インプラント自体の安全性は以前に比べ、チタン製になったことで非常に高くなっているといえます。
ただ、インプラント治療が手術を伴う以上、多少のリスクはつきものです。できる限り安全に治療を終えるには、不安な点は医師に全て相談しましょう。納得し、解消した上で治療を始めることが大切なので、信頼できる歯科医院や安心して任せられる歯科医師を見つけることが重要です。
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