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インプラント治療の流れ|術前~術後まで全体の工程をわかりやすく解説

自然な見た目と噛み心地のよさが魅力のインプラント治療。歯を欠損した際の治療方法として、選択肢を広げる有効な手段です。
インプラント治療を行うには手術が必要で、一人ひとりの歯や骨の状態によって治療方法も異なります。今回はどのような方法があるか、基本的な治療の流れについてご紹介します。

インプラント治療の流れ

インプラント治療は手術を伴うため、事前に細かい聞き取りや診察が行われることが多いです。診察に訪れたその日に治療を始めることはほとんどないと考えておくほうがいいでしょう。

  1. カウンセリング
  2. 歯や骨の診察・診断
  3. 具体的な治療の計画
  4. 一次手術(インプラントの埋入)
  5. 治癒期間
  6. 二次手術(仮歯の装着)
  7. 人工の歯を装着する(治療完了)
  8. 定期的なメンテナンス

カウンセリング

実際にインプラント治療の計画をする前に、まずは医師とカウンセリングを行うのが一般的です。インプラント治療は虫歯や歯周病の治療、歯並びなど審美面の治療を並行して行うこともあります。まずは自分がどんなことに悩んでいるかを医師に相談しましょう。

歯や骨の診察・診断

治療の方法を検討するにあたり、歯や骨の状態、神経・血管の走行などを把握するためのCTスキャンやレントゲン撮影が行われることも多いです。
インプラント治療に限りませんが、手術には少なからずリスクが伴うので、細かいチェックは安全性を高めることにもつながると考えられます。

具体的な治療の計画

カウンセリングやCT、レントゲンの様子などを参考に、医師は治療方法や治療の流れを計画します。
基本的に医師は、噛み合わせや衛生管理の行いやすさなど術後のことまで含めて総合的に治療の計画を立てます。ですが患者である自分自身も、治療内容について十分理解し、納得することが大切です。分からないことは理解できるまで確認しておきましょう。

一次手術(インプラントの埋入)

治療の計画が立ったら手術へと進みます。手術は2回に分けられることが多く、1回目はインプラント(人工歯根)を埋め込むための手術です。
インプラントを埋め込んだあとは、一旦歯肉をかぶせて縫合します。歯肉の下に埋めた状態で、インプラントと歯槽骨とが定着し、固定するまで時間を置くためです。

治癒期間

一次手術のあとは、インプラントと骨の結合を待つ治癒期間に入ります。

インプラントが歯槽骨と定着するまでの時間は、通常上あごで6ヵ月、下あごで4ヵ月程度といわれています。ただし個人差があるため、一概にはいえません。

二次手術(仮歯の装着)

インプラントと歯槽骨とがしっかり定着したら、2回目の手術を行います。2回目の手術では縫合した歯肉を再び切開し、埋め込んだインプラントを露出させてから仮歯を装着します。

人工の歯を装着する(治療完了)

2回目の手術によって切開した歯肉の傷が治るのを待ってから、インプラントの上に人工の歯を取り付けます。
取り付ける人工の歯は、自然な見た目になるよう周囲の歯や色合い、形などを考慮して選びます。歯を取り付けたら噛み合わせをチェックし、治療は完了です。

定期的なメンテナンス

インプラントは治療完了後も定期的なメンテナンスが必要に

インプラント治療は人工の歯を取り付けた時点で完了となりますが、その後も定期的なメンテナンスが必要です。
治療後もインプラント周囲炎などトラブルが起こる可能性があるからです。
トラブルを防ぐためにも、定期的に歯の点検、クリーニング、噛み合わせのチェックなどを行うことが大切です。

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インプラント治療の方法

インプラント治療の方法は、一人ひとりの歯や歯肉、骨の状態に合わせて異なります。

抜歯と同時にインプラントを埋め込む(抜歯即時埋入)

治療方法の1つ目は、抜歯と同時にインプラントの埋め込みまで行う方法です。
抜歯をしてインプラントを埋め込んで3ヵ月以上経ってから仮歯の装着を行います。
仮歯を装着が完了したらさらに最低1ヵ月以上おき、人工の歯を取りつけます。

歯肉が治癒してからインプラントを埋入

抜歯をしたあと、空いた穴が歯肉で埋まってからインプラントを埋め込む治療方法もあります。
まず抜歯をして1~2ヵ月歯肉が治癒するのを待ちます。

歯肉が治癒してからインプラントを埋め込み、最低1ヵ月は期間を空けて仮歯を装着します。
仮歯の装着後、さらに1ヵ月以上の期間をおいて人工の歯を取り付けます。

骨が治癒してからインプラントを埋め込む

歯肉の治癒を待つ以外に、抜歯によって空いた穴が骨で埋まってからインプラントを埋め込むという方法もあります。
骨が治癒するのは、抜歯をしてから3~4か月程度かかります。

レントゲンにより、骨が治癒しているのが確認出来たらインプラントを埋め込み、最低1カ月半以上の期間を空け、仮歯を装着します。
仮歯の装着後、1ヵ月以上は様子を見てから、人工の歯を取り付けます。

抜歯後数年が経過している場合

すでに抜歯してから数年経過している、という部分にインプラントを埋め込むという治療方法もあります。
抜歯は済んでいるのでインプラントを埋め込み、1カ月半以上を空けてから仮歯を装着します。
仮歯の装着後、最低1ヵ月は時間を置き、人口の歯を取り付けます。

インプラント治療で重要な骨量

土台になる歯槽骨の厚みや量が足りているか

インプラント治療をするにあたり、重要になるのが歯槽骨の厚みや量が十分あるかどうかです。

インプラントは歯槽骨に埋め込みます。歯槽骨は歯茎に覆われたアゴの骨と歯とを結ぶ骨で、歯を支える土台です。インプラント治療の土台となるに歯槽骨に安定感がなければ、インプラントをしっかり固定することができません。仮に埋め込んだとしても支えきれず、最悪は抜け落ちる可能性もあります。

一般的に、インプラントを埋め込むために必要な歯槽骨の厚みや量は、幅6㎜、高さ10㎜以上といわれています。

歯槽骨の厚みや量が減少する原因

歯槽骨の厚みや量の減少は、歯が抜けたのに治療せず放置した場合や、噛み合わせが悪い入れ歯を使い続けたときなどに起こりやすいといわれています。

例えば元々合った歯が抜けることは、それまで歯肉やアゴに対してかかっていた圧力がなくなるということです。噛み合わせの悪い入れ歯を使い続けることも、歯にかかる圧力が過剰にかかる部分と全くかからない部分とに分けることになります。

歯槽歯にかかる力の均衡が崩れると、骨を弱らせる原因になります。最終的に、歯槽骨の厚みや量の減少にもつながります。
歯槽骨が吸収される原因はほかにも、歯周病が原因となるケースがあります。歯周病は進行すると、歯茎や周辺組織を破壊して歯槽骨を弱らせるからです。

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骨の厚みや量が不足している場合のインプラント治療

骨を増やす治療を行ってからインプラント治療へ

インプラント治療に必要な骨の厚みや量が不足しているとしても、何らかの歯科治療を行って改善することで、インプラント治療ができるケースもあります。医療は常に進歩していて、骨移植などで歯肉や歯槽骨を再生し、骨の強度を高められる場合もあるからです。
代表的な方法と治療の流れをご紹介します。

GBR法

GBR法は骨誘導再生法と呼ばれる方法で、骨の量や厚みが足りない部分に、自分自身の骨や人工骨を移植し、特殊な膜を取り付けて骨量を増やす方法です。
移植した部分に取り付ける特殊な膜は「メンブレン」と呼ばれるものです。メンブレンには骨の再生を促す作用があり、インプラントを埋め込むために必要な骨量へと増やす効果が期待できます。
GBR法は骨増殖手術の中で最も一般的な治療といわれており、主に上あごの前歯や下あごに行うことが多いです。費用の相場は1ヵ所あたり約3~10万円といわれています。

GBR法によるインプラント治療の流れ

GBR法は抜歯を行ってから1ヵ月、骨の再生までは3ヵ月から半年ほど期間をおき、十分再生したところでインプラント治療へと進みます。
インプラントを埋め込んだあとは最低でも1カ月半の時間を空け、仮歯の装着をします。
仮歯を装着して再び1ヵ月以上は様子を見て人工の歯を取り付けます。

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サイナスリフト

上あごの歯槽骨上部には、「サイナス」と呼ばれる空洞があります。サイナスは上の歯を失うと下の方へ向かって拡大しやすく、周囲の歯槽骨も吸収して骨がやせ細る原因にもなります。
サイナスリフトは、拡大した隙間に骨移植や骨補填剤を移植することで空洞を持ち上げて骨の厚みを確保し、インプラント治療をできるようにする方法です。
費用の目安は約5~35万円と幅があります。

サイナスリフトによるインプラント治療の流れ

サイナスリフトにかかる治療期間は、骨の状態によって異なります。
骨の量があまりにもない場合は、抜歯後1ヵ月以上あけてからするサイナスリフトを行い、6ヵ月は骨が造成するのを待ちます。骨造成ができたらインプラントを埋め込み、1カ月半以上あけてから仮歯の装着を行い、再び1ヵ月ほど期間をあけて人工の歯を取り付けます。
ただし、骨の量が多少でもある場合は、骨造成を待たずにインプラント治療を同時進行で行うこともあります。

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CGF再生療法

歯槽骨の厚みを補う方法は、骨移植以外に血液から行う治療方法もあります。CGF再生療法は手段のひとつで、自分自身の血液から行う治療法です。CGFとは、傷の治癒や組織の再生に効果的な血小板に含まれる成長因子を濃縮し、ゲル状にしたものです。インプラントを埋め込む際に一緒に埋入する場合もあれば、抜歯後骨の再生を促進するのに使われることもあります。
CGF再生療法の特徴は、自分自身の血液を遠心分離して作り出すことができるので、アレルギーや感染症のリスクが低いことと、骨や歯肉が再生するまでの期間も短縮できることなどが挙げられます。
治療費の相場もほかの方法より比較的抑えやすく、5,000円程度から行っているクリニックがあります。

インプラント治療の方法や流れは個人差が大きい

ベストな方法でインプラント治療ができるように十分に相談を

インプラント治療は抜歯をしてインプラントを埋め込み、仮歯を装着して人工の歯を取り付ける、というのが大まかな流れです。しかし骨の状態によっては、まずインプラントを埋め込めるだけの骨の強度を取り戻すことからスタートとなります。
治療方法は多数あり、治療内容や歯・骨の状態によっても手段や治療の流れは異なります。手術後の経過にも個人差が出やすく、数か月で完了することもあれば長期にわたることもあります。医師とは十分相談の上、治療を進めていきましょう。

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