インプラントにぐらつき!?原因と治療法
最近では、歯を欠損した際に審美性と耐久性のあるインプラント治療を選択する方も増えてきました。インプラント治療は、比較的安全性の高い歯科治療であるといわれています。
しかし、インプラント術後のリスクがゼロではありません。「手術後にインプラントがぐらついたらどうしよう。」と不安を抱えている方も少なくはないのでしょうか。
今回は、もしインプラントにぐらつきが生じてしまった際の原因と、治療法について解説します。
インプラントのぐらつきを感じたら
通常のインプラント治療では、インプラント体を埋め込む一次手術の後に、インプラント体と顎の骨が結合する安静期間を設けます。
その後、インプラントの上部構造を装着する二次手術を行います。インプラント手術の工程がすべて終了し、インプラントを使用して生活しているときに、ぐらつきを感じた際は、どうすればよいのでしょうか。
インプラントがぐらついてしまう原因と、ぐらつきに対する対処法や治療法を解説します。
インプラントがぐらつく原因は?
インプラントのぐらつきを感じた場合、次のことが原因でぐらつきが生じている可能性があります。
歯ぎしりや食いしばりによるストレス
インプラントは、歯を欠損した際に行う歯科治療の中でも、耐久性が優れているといわれています。しかし、必ずインプラントが激しい歯ぎしりや、食いしばりに堪えうることができるとは言い切れません。
度重なる歯ぎしりや食いしばりにより、顎の骨が吸収されて、痩せてしまうことも考えられます。そのようなストレスによって、顎の骨が吸収され、痩せてしまうと、インプラントの支持性が乏しい状態になってしまいます。
インプラント周囲炎
口の中の衛生が保たれていない状態では、インプラントの周囲に歯周病が発生する可能性があります。そして、歯周病の症状が進行してしまうと、インプラント周囲の歯茎が腫れ、骨が細菌感染により溶けだしてしまうこともあります。
このように、インプラントの周囲に生じる歯周病のことを、インプラント周囲炎とよびます。歯周病とインプラント周囲炎は、名前は異なりますが、症状はほぼ同様です。天然の歯でも、インプラントでも、歯周病(インプラント周囲炎)が進行してしまうと、歯やインプラントがぐらついたり、抜け落ちてしまったりするリスクになります。
喫煙による治癒の阻害
煙草に含まれるニコチンの影響により、血管が過剰に収縮してしまうことがあります。血管が過剰に収縮することで、インプラントを埋め込んだ部分に血液や酸素が十分に行き渡らなくなります。
また、喫煙の際に発生する一酸化炭素によって酸素の運搬が妨げられると、術後の治癒不全につながってしまいます。そのため、最終的に骨の結合が妨げられ、インプラントがぐらつく原因になることがあります。
アパットメントのネジの緩みや破損
アパットメントは、顎の骨に埋め込んだインプラント体と、人工歯の部分を連結させる部分です。上部構造とインプラント体を連結するアバットメントはネジで固定されています。
そのネジの部分が緩んでしまうと、インプラント自体がぐらついてしまう原因になります。また、セメント部分が劣化してしまう場合もネジが緩み、インプラントのぐらつきにつながることがあります。
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インプラントのぐらつきの治療法
インプラントのぐらつきを感じた際に、自分でぐらつきの原因を探し出すことは非常に困難です。そのため、インプラントのぐらつきを感じた際は、早期に歯科医院へ受診することが大切になります。
インプラントのぐらつきを放っておいてしまうと、インプラントの状態がさらに悪化したり、周りの健康な歯にも悪影響を及ぼしてしまったりする可能性もあります。やむを得ず、歯科医院へ受診するまでに時間が空いてしまう場合は、最低限は口の中の衛生状態を良好に保ちましょう。可能な範囲でブラッシングやうがいなどをしておくと、細菌感染の拡大を防ぐことができます。
また、食事の際には硬い食べ物は避けて、ぐらついているインプラント部分になるべく負担がかからないようにしましょう。食事などで更に負担が加わってしまうと、場合によってはぐらつきが大きくなったり、痛みや腫れが生じたりすることもあります。
アパットメントのネジが緩んだ場合
インプラントのぐらつきの原因が、アパットメントのネジの緩みが原因であった場合も、歯科医院への受診が必要です。アパットメントを一旦外し、かみ合わせを再度調整する処置を行います。そして、インプラントをクリーニングしてから再装着していきます。
もし、ネジの緩みをそのまま放置してしまうと、炎症を起こしてしまい、その他の骨も吸収が進んでしまう可能性もあります。そのため、ネジの緩みが生じた際は、早期の対応が必要です。
インプラントの経年劣化の場合
インプラントの経年劣化が原因で、インプラントがぐらついた場合は、使用してきたインプラントを取り除き、再び再手術を行う必要があります。
ぐらつき治療にかかる費用は
再治療の費用
インプラントの再手術が必要な場合に必要な費用は、症状や歯科医院によって異なります。再手術の場合も、全額自己負担が必要なケースもあれば、一部の費用負担で行える場合もあります。インプラント治療を始める前に、歯科医院に確認しておくことが大切です。
メーカーの保証が使用できる場合がある
インプラントの状態や条件によって異なりますが、歯科医院やインプラントメーカーの保証が使用できることもあります。保証内容によっては、無料で再手術が受けられる場合があります。保証内容については、インプラントメーカーや歯科医院によって異なります。
契約した保証内容がわからない場合は、歯科医院に教えてもらいましょう。インプラントを20~30年ほど使い続けた場合には、保証期間が過ぎていることもあります。保証期間が過ぎていたり、保証内容外であったりすると、再治療にかかる費用は患者さんの負担になります。
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インプラントのぐらつきを予防する方法
インプラントは、天然の歯と異なり歯根膜がありません。また、衝撃を緩衝する作用や、自己再生能力も天然の歯に比べて劣っているといわれています。そのため、しっかりと口腔内の衛生を保てなければ、インプラント周囲炎になりインプラントがぐらついてしまう可能性もあります。インプラントのぐらつきを予防するために、定期的なメインテナンスがとても重要になります。
定期メンテナンスを行う
インプラント周囲炎を予防するために、インプラント手術後も定期的に歯科医院に通院し、プロの手でメンテナンスを行うことが大切です。頻度としては、セルフメンテナンスがしっかり行えている方や、インプラントやその周囲に問題のない方は、4~6ヶ月間隔でメンテナンスを行うことが適切と言われています。
しかし、残っている歯の周りの状態が悪化した際や、ご自分で十分にセルフメンテナンスが行えない場合は、1~3ヶ月毎に歯科医院へ通院することが望ましいです。歯科医師・歯科衛生士の専門的なチェックを受け、問題があれば早期に治療することで良好な状態を保つことができます。
定期メンテナンスの内容
定期メンテナンスの内容は、歯科医が咬みあわせや歯の汚れ具合をチェックや、歯科衛生士が専門的に歯の汚れを落とすPMTCを行います。また、汚れの具合によっては、インプラントの上部構造を外して汚れを徹底的に落とすこともあります。
定期メンテナンスの費用
インプラントの定期メンテナンスも、基本的には健康保険は適用されません。そのため、全額自費診療の負担となります。メンテナンス費用の相場としては3000円~10000円ほどですが、各歯科医院で値段設定は異なるため決まった一律料金ではないことがほとんどです。
インプラントのセラミック歯の手術をご検討の方は、事前にメンテナンス費用の確認をしておくと安心ですね。
セルフメンテナンスを行う
天然の歯と比べて、インプラントは細菌感染しやすいといわれています。そのため、口腔内の衛生を保つためのメンテナンスを入念に行う必要があります。おすすめのセルフメンテナンス方法について解説します。
歯ブラシでのブラッシング
歯ブラシは、天然の歯をブラッシングする歯ブラシと同じものを使用して問題はありません。ブラッシング方法のポイントは、大きく動かさず、細かく1本ずつをブラッシングすることです。歯肉との境目は磨き残しが多いため入念に行いましょう。
以前から電動歯ブラシを使用していた方は、そのままインプラント部分にも使用して頂いても大丈夫です。
デンタルフロス・タフトブラシを使用する
歯間ブラシの他にも、デンタルフロス・タフトブラシ等の使用もおすすめされています。歯ブラシでのブラッシングでは落としきれない、歯とインプラント歯の間の汚れを歯間ブラシやデンタルフロスで清掃を追加することもオススメです。
インプラント歯間やインプラント歯と歯肉の間の磨き残しの多い箇所は、毛束が1つのヘッドの小さな歯ブラシであるタフトブラシの使用も効果的です。
インプラントは継続的なケアが重要
インプラント歯は、前述の通り最近感染しやすいと言われています。そのため、定期的に通院して診てもらうメインテナンスと歯ブラシや歯間ブラシ等を使用した毎日のセルフメンテナンスの継続が極めて重要になります。
インプラントのぐらつきが気になったら、すぐに歯科医へ相談を
インプラント治療は、比較的安全性の高い歯科治療であるといわれています。しかし、インプラント術後のリスクがゼロではありません。
歯科医院への定期通院で行うメインメンテナンスや、自宅で行うセルフメンテナンスを怠ると、インプラントがぐらつく原因であるインプラント周囲炎に罹患してしまうこともあります。インプラントがぐらつく原因はインプラント周囲炎だけではなく様々であるため、ぐらつきを感じた際は自己判断せずに、すぐに歯科医院へ相談しましょう。
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