入れ歯が痛いのはなぜ?痛みの原因と対処法
入れ歯を装着したとき痛いと感じたことはありませんか?
初めての入れ歯や新しい入れ歯、長年使ってきた入れ歯など人によって状況は異なるでしょうが、どんな場合でも痛みがあるだけで力を入れて噛めなかったり、笑いにくかったりして食事や会話が苦痛になることもあるはずです。
今回は入れ歯を付けて痛くなる原因や、痛みを感じたときの対処法や予防策などについてご紹介します。
入れ歯が痛い原因は?
入れ歯を装着したときに痛いと感じたら、次のような症状が出ることが多いです。
当てはまるものがないか確認しましょう。
入れ歯がフィットしていない
痛いと感じる原因のひとつには、入れ歯がしっかりフィットしていないことが考えられます。入れ歯が当たったりこすれたりして歯肉が痛い場合は、入れ歯が合っていない可能性を考えたほうがいいでしょう。
入れ歯がフィットしないと、食べ物が入れ歯の下に挟まって歯茎を刺激したり、入れ歯自体が歯茎に食い込んで痛みを引き起こすこともあります。合わない入れ歯を使い続けると骨に適切な力がかからないため、骨が吸収されて減っていくこともあります。
骨が減り続けると、最終的に入れ歯が作れなくなるリスクもあるので注意が必要です。
噛み合わせが悪い場合は要注意
フィットしていない入れ歯は噛み合わせも悪い場合が多く、痛いと感じる原因になりやすいです。噛み合わせが悪いと食べ物を噛んだとき、入れ歯が局所的に強く当たりやすくなるからです。最悪の場合、痛いだけでなく骨が壊れて減っていく原因にもなります。
噛み合わせが悪いかどうかは、入れ歯を噛み合わせたとき横にずれるかどうかで分かることが多いです。場合によっては装着するだけなら問題なく、噛んだときにだけ痛いと感じるケースもあります。
入れ歯の一部分だけに力が加わりやすいので、入れ歯のふちが歯茎に食い込んでこすれて傷になったり、入れ歯をかけると歯の周囲が痛い場合も噛み合わせが悪いと考えていいでしょう。
入れ歯の痛みは表情にも影響
入れ歯が痛いと、表情にも悪影響を与えることがあります。例えば噛んだときだけ痛みを感じる場合は、痛くない部分で食事を摂りがちです。
入れ歯の一部分だけで噛みつづけると、舌や顔の筋肉の付き具合にも差が生まれやすくなります。舌や頬など顔の筋肉が痩せると、結果的に表情や顔の印象までアンバランスになる可能性もあるでしょう。
入れ歯が合わず痛いだけでなく、食べ物を噛めなくなることや、舌が思い通り動かずしゃべりにくい、笑いにくい、入れ歯がすぐに外れるなどのリスクが起こる場合もあります。
アゴの骨や顔の筋肉が痩せた
入れ歯が痛いと感じたら、アゴの骨が痩せた可能性も考えられます。人間のアゴの骨は年齢とともに多少なりとも痩せていくものです。
長期間入れ歯の調整をしていない場合は、知らず知らずのうちに歯茎と入れ歯との間に隙間ができ、入れ歯がフィットしなくなる場合があります。隙間ができたまま使っていると、食べ物を噛んだとき入れ歯が動きやすく、痛いと感じることも多くなるでしょう。
歯茎は痩せると、最悪の場合ぶよぶよとしたコンニャク状になる可能性があります。コンニャク状になると入れ歯はさらに動きやすくなり、痛みにもつながりやすいです。入れ歯の作り直しもできなくなることもあるので注意が必要です。
加齢に限らず、何らかの原因によって歯茎が極端に痩せた場合は、骨から出てきた神経が入れ歯に圧迫され、痛みを起こすことがあります。
骨の変化が痛みにつながることも
アゴの骨は痩せるだけでなく膨らんだり尖ったりする場合もあります。膨らんだり尖ったりした場合も、入れ歯が歯茎に当たりやすくなるので、痛いと感じやすいです。いずれにせよ、アゴの骨の変化が痛みにつながることがあるでしょう。
部分入れ歯の場合は残っている歯にも悪影響
金具(クラスプ)がついている部分入れ歯の場合は、入れ歯が合わないと残っている歯に悪影響を与えることがあります。
取り外しの際金具がかかった歯に余計な負担や、力がかかりやすくなるからです。金具をかけている歯が痛くなるだけでなく、せっかく残っていた健康な歯までガタガタするようになるかもしれません。
入れ歯の破損
入れ歯を装着したときの痛みは、入れ歯の破損や部品が取れて起こる場合もあります。
破損しているのに気づかないまま装着すると、歯茎が傷ついていたいと感じることがあるからです。入れ歯も人工物なので、何らかのきっかけで入れ歯にヒビが入ったり、欠けや割れたりすることはあります。
入れ歯の傷は食べ物で起こることもあります。例えばイチゴの種やゴマなどが挟まって傷になる場合です。口の中の変化が原因の場合は、痛いという感じ以外に入れ歯が外れやすくなったり、装着してもブカブカして緩いなどの症状が出やすいです。
唾液が少ない
入れ歯が痛い原因は、唾液量が関係していることもあります。唾液の量が少ないと、歯茎と入れ歯とが強くこすれやすくなるため、痛みを引き起こしやすくなるからです。
唾液が少なくなる原因は加齢や薬の副作用が考えられます。最近口が乾きやすいなと感じている場合は、唾液が少なくなっているかもしれません。
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入れ歯が痛いと感じたときの対処法
我慢せず入れ歯を外す
入れ歯を装着して痛いと感じたときは、我慢せず一旦外すほうがベターです。無理に使用を続けると、粘膜が傷つくことがあるからです。
粘膜が傷つくと、調整しても傷が治るまで痛みがおさまらないかもしれません。傷ができる前に痛いと感じた場合は無理せず口の中を休ませましょう。
金具のある部分入れ歯の外し方
部分入れ歯を外す際は、金具(クラスプ)があれば金具を歯から外すように動かして部分入れ歯全体を外します。両手の指や爪をひっかけ、あいている指は残っている歯に添えたら、両手に同時に力を入れて外すのがポイントです。
総入れ歯の外し方
総入れ歯を外すときは、入れ歯と歯茎との間に空気を入れるのがポイントです。
入れ歯の前歯部分をもって、奥歯のほうを上アゴや歯茎な度の粘膜から浮かせるようにして空気を入れましょう。コツをつかめばカパッと簡単に外れるようになるはずです。
入れ歯を口から出しにくいと感じるときは、口回りの筋肉をマッサージしてから外すとやりやすなるようです。
寝るときは入れ歯を外すのが基本
入れ歯が痛いときは外すのがベターですが、基本的に部分入れ歯・総入れ歯ともに入れ歯は朝装着し、寝るときは外して保管するのが基本です。
入れ歯を入れ歯をずっと外さないでいると、口の中の細菌が粘膜や歯に付着して、歯周病や口内炎などの原因になるからです。装着し続けることは粘膜や歯の負担にもなるので、寝ている間は休ませるためにも外すほうがいいでしょう。
また、可能であれば、日中も食事を終えたあとは毎回外して洗浄するほうがベターです。食事に限らず、入浴中など外せる時間があれば外し、歯肉や粘膜を指でマッサージしてもいいでしょう。
ただし、高齢者などは起床時に入れ歯が口に入っていないとフラフラする可能性があるため、上下どちらかの入れ歯をつけたまま寝たほうがいい場合もあります。装着したまま就寝する場合は、起床後すぐに入れ歯や口の中をきれいにすることが大切です。
いずれにせよ、歯科医の指示に従いましょう。
痛いときは歯科医院へ
入れ歯を装着して痛いと感じる場合は、歯科医院に相談したほうがベターです。そのまま放置すると、ますます痛みが強くなるかもしれないからです。
強い痛みがない場合も、粘膜や残っている歯に余計な負担がかかって入れ歯が合わなくなる可能性があります。少しでも違和感や、痛みを感じたときはなるべく早く受診しましょう。
入れ歯が破損した段階で受診を
入れ歯が破損した場合も、速やかに歯科医院を受診しましょう。そのままでは歯肉を傷つけ、痛みを引き起こす可能性があるからです。
もちろんすでに歯肉を傷つけて痛みが出ている場合もすぐに受診しましょう。傷自体は入れ歯を外して清潔にすれば治ることがほとんどですが、悪化しないように早めに修理や調整を行うのがベターです。
受診前は安静に。清潔にして受診を
入れ歯をつけたり、傷ができて痛い場合に受信するときは、入れ歯を外した状態で受診しましょう。受診前はできるだけ硬いものを食べないように注意してください。
入れ歯自体はブラシを使って流水で洗浄し、きれいな状態にしておきます。ティッシュに包むより、ケースに入れて持参するほうがベターです。入れ歯が複数ある場合は、すべて持参するようにしてください。紛失した場合はその旨を伝えましょう。
残っている歯は歯磨きして口の中を清潔にしておくことも大切です。
噛み合わせ調整や作り直しが可能
骨が痩せたり、そもそも歯茎と入れ歯がフィットしていないなどの原因で痛い場合は、歯科医院で噛み合わせ調整をしてもらえることが多いです。
ただし噛み合わせ調整では痛いと感じる部分を削ると、今度は違う部分が痛くなる場合もあります。場合によっては、しっくり来るまで3~6回ほど調整が必要になることもあります。
作ってから数年経過している入れ歯の場合は、噛み合わせ調整をするより作り直すことのほうが多いようです。使い続けて入れ歯がすり減って噛み合わせが変わったり、骨や舌・頬の筋肉が痩せ、口の中が変化して痛みが生じている場合もあるからです。
その他、感染症のリスクがある場合や、修理や噛み合わせ調整が難しい場合なども作り直すのが一般的です。
インプラントで安定させる
入れ歯が痛いときの治療には、インプラントを活用するケースもあります。インプラントはアゴの骨に人口歯根(インプラント)を埋め込み、人口の歯を取り付ける治療です。
骨に直接埋め込むことで、入れ歯の安定性が非常に高くなるといわれています。ただし自由診療になるため、治療費は全額自己負担で、高額になりやすいことを頭に入れておきましょう。
自分で入れ歯を修理するのはNG
入れ歯にヒビや欠けなど破損した場合に、自分で市販の接着剤を使って治すのはNGです。
入れ歯は一人一人に合うよう、細かい配慮の上で製作されているので、自分で削ったり、バネをまげて調整すると、さらに合わなくなる可能性のほうが高いからです。
最悪は歯科医院で修理しようと思っても、できなくなる場合もあります。入れ歯をつけて痛いなと感じたときは、まずは歯科医に相談しましょう。
初めての入れ歯は痛いのも普通
違和感程度なら様子を見る
入れ歯を装着していたいと感じたら、基本的にすぐ歯科医院に相談したほうがベターです。ですが、初めて入れ歯を作った場合や、新しい入れ歯の場合はほとんどの場合、慣れるまで痛みを感じるといわれています。痛み以外に異物感や、噛みにくい、話しにくい、味がわかりにくい、熱を感じにくいなどの症状も出やすいです。
痛みや違和感の原因は、入れ歯自体が少し厚みのある樹脂でできていることがひとつです。口の中も歯を失ってから入れ歯を作るまで、歯がない状態に慣れてしまっているので、新たに入れ歯を入れることによって痛みや違和感も感じやすいでしょう。
とはいえ、痛みや違和感は、噛めるようになれば解消することが多いです。一般的に、2~3週間程度で落ち着くことが多いので、慣れるまで様子を見てもいいでしょう。新しい入れ歯の場合は、ゆっくり噛むことで痛みを和らげたり、歯茎が開腹しやすくなる場合もあるようです。
歯科医に相談してもOK
初めての入れ歯や新しい入れ歯でも、痛みがひどい場合や違和感に我慢できない場合などは、無理せず歯科医院に相談するのが第一です。
受診すれば、噛み合わせの調整や、装着時の不快感を和らげたり、元々の感覚を取り戻す方法を教えてもらえるはずです。
入れ歯が痛くなるのを防ぐには?
入れ歯は毎日洗浄するのが基本
入れ歯を洗浄することは、自分でできる入れ歯の痛み防止法のひとつです。洗浄をすることによって、入れ歯の破損を防ぐことにもつながるからです。
入れ歯の洗浄方法は、夜は外して水と歯ブラシで洗い、きれいな水(水道水)に入れるのが基本です。歯磨き粉は研磨剤が入っているものもあり、入れ歯を傷つける可能性があるため使用しないほうがいいでしょう。
入れ歯を水につけておくのは、入れ歯が乾燥に弱いからです。水につける際、歯科医の指示があれば入れ歯洗浄剤も使いましょう。入れ歯を清潔に保てば、細菌の繁殖も防ぐことにもつながります。感染症のリスクも減らせるので、毎日の習慣に手入れをしましょう。
歯茎のマッサージも一緒に
長時間入れ歯を装着したあとは、歯茎を楽にするために歯ブラシや食塩水を使ってマッサージをするのも効果的です。
歯ブラシは適度な刺激を歯茎に与えられますし、食塩水には痛みを和らげる効果があるといわれているからです。分量はカップ半分以上のぬるま湯に小さじ半分程度の食塩を目安にしましょう。
マッサージをすることで歯茎の健康を維持し、入れ歯でも食べやすくなるのに役立つといわれています。
入れ歯安定剤の安易な使用は注意
入れ歯安定剤は、食べ物を噛んだときの食べかすが入れ歯の下に入り込み、痛みや刺激を起こすのを防ぐのに効果的です。ですが、安易に入れ歯安定剤を使うのは注意が必要です。使い方によっては逆に悪化させることもあるからです。
元々外れやすい入れ歯の場合は、入れ歯安定剤で無理に合わせて使っていると、どんどん歪んで合わなくなる可能性が高いです。入れ歯がずれて痛いと感じる場合は、入れ歯安定剤に頼る前に歯科医に相談したほうがいいでしょう。
歯科医院で定期健診を
入れ歯で痛い思いをしないためには、歯科医院で定期的に健診を受けることも大切です。一般的な定期健診では、噛み合わせのチェックや入れ歯が合っているかをチェックが行われます。
不具合や痛いと感じている場合は、削ったり裏打ちをするなどして入れ歯がフィットするよう調整をしてもらったり、歯肉や粘膜に傷ができている場合は薬を処方してもらえるはずです。
歯科医院によっては入れ歯専用の洗浄剤を使って、超音波洗浄をしてもらえることもあります。超音波洗浄は普段のお手入れで取れない汚れまで落としやすいといわれており、洗浄後はすっきりした着用感を感じられるといわれています。
かかりつけの歯科医院で定期健診を受ければ、入れ歯だけでなく口の中全体のチェックもしてもらえます。自分では分からなかった口の中の変化にも早い段階で気づきやすくなるでしょう。より早い段階で調整や問題の解決に導き、長く快適に入れ歯を使うことにもつながるはずです。
定期健診のタイミングは歯科医院によって異なりますが、6か月に1回程度のペースで行われることが多いです。
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入れ歯が痛いと感じたときは歯科医に相談を
入れ歯を装着したときに痛いと感じる原因には、入れ歯自体の破損やアゴの骨が痩せるなどの原因により、入れ歯が合わなくなっているなどが考えられます。
合っていない入れ歯を付け続けると、痛いだけでなく粘膜を傷つけたり、ますます入れ歯が合わず痛みが強くなる可能性が高いからです。少しでも痛いと感じたときは、無理せず歯科医に相談したほうがベターです。
受診することで原因を見つけ、トラブルを解消することもできるでしょう。痛みがないフィットした入れ歯なら、毎日の生活も快適で食事も会話も自信を持って過ごせるようになるはずです。
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